コスパよし、ハズレなしの「ピノ・ノワール」なら、この1本!
ワインにあまり詳しくなくても、ピノ・ノワールという名前はよく耳にします。おもに赤ワイン用に栽培されるふどう品種ですが、この「ピノ」を使ったワインは、世界各地のワイナリーで造られていますよね。
ってことで、狙い目のピノ・ノワールはどれなのか? そんな質問をソムリエ吉川大智さんにぶつけてみました。
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「コスパのいいピノは?」
ソムリエをいちばん悩ませる質問がこれ。ピノ・ノワールは味わいと品質に比例して、どうしても価格が上昇傾向にあるからだ。産地や収穫された年、造り手によっても大きく味わいが変わるのがピノ・ノワールというぶどう。ゆえに、当たり外れの振り幅も大きい。
市場に出まわる安くてうまいワインは、味わいのしっかりとしたカベルネ・ソーヴィニヨンやブレンドものが大半。エレガントな飲み口で余韻の長さが持ち味のピノ・ノワールは、ある程度のコストを覚悟しなければ、「それなり」の印象をなかなか抜け出せない。
ところが、中には「これぞ!」と唸りたくなるピノもある。カリフォルニアの極上品。ぜひ、その複雑味を味わってみて。
今なら、まさかの半額以下!
アルタ・マリア ピノ・ノワール
産地:カリフォルニア州 / サンタマリアヴァレー
ぶどう品種:ピノ・ノワール
タイプ:赤ワイン
アルコール度数:13.7%
味わい:辛口ミディアムボディ
価格:2380円前後
このワイン、実勢価格は5500円ほどにも関わらず、大手ECサイトでは2380円前後で販売されている。
造り手のこだわりもいい、味わいも素晴らしいのに。実のところ、販売先の人事異動により、契約破棄にあってしまい(そんなことある!?)大量の在庫を抱えてしまったという、いわくつきのワイン。
現地カリフォルニアでは通常価格を維持したいため、大幅な値下げは敢行せず、日本で値下げして販売することになった。
近年、世界で高い評価を得ているカリフォルニアのピノ・ノワール。それが、まさかの半額以下とは。なんとも消費者にはありがたい話。こんな機会はそうそうない。
その複雑味を、じっくりと。
ヴィンテージは2012年。コルクを抜くと瓶内でゆっくり熟成されたアロマが広がってくる。鼻を近づけると紅茶葉のようでもあり、森の中にいるようなグリーンと土のニュアンスがする。これはぶどうの茎をつけたまま醸造する「全房発酵」由来の香り。ぶどうの酸味をまろやかに仕上げたり、アロマに複雑味を持たせるテクニックだ。
ただこの製法、通常の製造工程よりもリスクが高いことでも知られている。失敗すると茎のえぐみや青臭さが全面に出てしまうため、全房発酵は醸造家の手腕が現れやすい。
ちなみに、一度はその名を聞いたことがあるはずの“ブルゴーニュの女王”、あの「ロマネ・コンティ」も同じ製法だって知ってた?
アルタマリアのピノ・ノワールは全房発酵と長い樽熟成を経ることで、単純に「ベリーの香り」だとか「プラムの香り」では片付けられない、スモーキーな樽香が相まった、複雑味を実現している。
ピノ・ノワールには「きのこ」!
この複雑味には、少し背伸びをした料理と合わるのが吉。たとえば「鴨のコンフィ」や「鹿肉のロースト」、「ラムチョップ」のようなジビエ料理との相性は文句なし!
とは言え、そこは家での楽しみ。僕からのオススメは、ズバリきのこ料理。ポルチーニ茸や舞茸を使ったパスタやリゾット、シンプルにバターをたっぷり使って炒めるしめじもいい。あるいは牛肉のステーキにトリュフオイルをたらり。
2020年のいま、すでに飲み頃を迎えている。たまにはデイリーワインから一歩踏み出して、ピノ・ノワールでご機嫌な夜を!