こんなところで料理してみたい!小さなキッチンで生まれる豊かなレシピたち。
子どものころ、クッキングトイと呼ばれる、料理が作れるおもちゃがあった。キッチンのガス台がそのまま小さくなって、ホットケーキやドーナツが作れるものである。子どもからすると夢のようなおもちゃで、遊びのために作られたものだけれど、ほんものの料理が出来上がるというのが、子ども心に驚きであり喜びだった。大人になった今でも、限られたスペースや材料で料理をすることについ胸がときめいてしまうのは、その時の「おままごと」という遊びの延長に今があるからなのかなと思う。
小さく暮らすと、
ほんとうの豊かさが見えてくる。
アメリカの西海岸で、小さなキッチンで料理する人たちを撮影し、そのレシピを一冊にまとめるというプロジェクトがある。その名も『The Tiny Mess』。
コンロで湯を沸かす合間に、野菜をせん切り…だなんて、狭いキッチンだとなかなか大変な作業である。流しの上にまな板を置いて、不安定ななか庖丁を動かしたり、調理道具を仕舞う場所も限られているから、棚の取っ手にフックを引っ掛けて、フライパンやお鍋をたくさんかけて、頭をぶつけたりして。
そうこうしながら作り続けていると、見えてくるものがある。自分の動く範囲や動作のクセが分かると、必要な道具って意外とこれくらいでいいのかもと。写真に登場するシェフたちも「ままごと」感覚に胸をときめかせながらせっせと手を動かしているのだろうと思った。だって、そのごちゃごちゃした感じがとても楽しいのだから。
たとえば、こんな場所でも、
美味しいご飯は作れるわけで。
外のキッチンはバーナーがふたつ。ケトルと鍋。柱にはコーヒーカップ。
板をわたせば、どこでも調理台になるのだから、今日もたっぷりのサラダをこしらえる。
暖炉の上でパンケーキ。熱々にメイプルシロップをたっぷりかけて、部屋中に甘い香りを漂わせたい。
手の届くところに、必要なものがすべて揃っている安心感。寝ぼけ眼でも大丈夫。
スモールハウスやトレーラーハウス、ヨットの中など、限られた空間で、ちゃっちゃと手際よく手を動かす様子は、見ているだけでわくわくするものである。自宅のキッチンを改めて見直してみると、意外と必要のないものが多いことに気がつくかもしれないし、普段料理をしていない人は、まずはコンビーフに目玉焼きでも焼いてみようか、なんて気持ちになるかもしれない。手に取りたい人は、クラウドファンディングで応援を!