SNSを多用する子どもは「読解力や記憶力のテスト」の点数が低い。米国の研究で明らかに
ソーシャルメディアを頻繁に利用するプレティーン(9〜12歳)は、そうでない子供に比べて、思春期初期の読解力や語彙力、記憶力のテストで低い成績を収める傾向があることが、新たな研究で示唆された。
米国の医学雑誌『JAMA』に掲載された新たなデータを見てみよう。
6000人以上の利用パターンから分析、
1日1時間の利用でも認知能力に差
この研究は、数千人のプレティーンを追跡調査している大規模な継続研究「Adolescent Brain Cognitive Development (ABCD) Study」のデータを利用したもの。
研究チームは、6,000人以上の子供たちのソーシャルメディア利用パターンと、学習・記憶に関するテストの結果を分析した。
その結果、13歳までに1日約1時間ソーシャルメディアを利用していたグループは、ほとんど利用しないグループに比べて、読解力と記憶力のテストで平均1〜2点低い成績だったという。
さらに、13歳までに1日3時間以上利用していたグループでは、その差が4〜5点にまで広がった。
脳の発達に重要な思春期への影響
ノースカロライナ大学チャペルヒル校の心理学者Mitch Prinstein氏は、「思春期は、人生で最も脳が成長し、再編成される時期の一つです」と指摘する。
同氏の研究によると、ソーシャルメディアを多用する10代の脳は、他者からの「いいね」やコメントといった素早いフィードバックに過敏に反応するように変化するという。
Prinstein氏は、脳がソーシャルメディアの活動に最適化されることで、今回の研究で見られたような、学習といった他の活動に必要な能力が十分に発達しない可能性があると分析している。
世界で広がる年齢制限の動き
カルガリー大学の心理学者Sheri Madigan氏は、この研究結果が、ソーシャルメディアアプリに年齢制限を設ける必要性を示す十分な証拠になると述べている。
実際に、デンマークは15歳未満のソーシャルメディア利用を禁止する方針を発表し、オーストラリアも2025年12月から16歳未満のアカウント作成を制限するよう、企業に求める予定だ。
Madigan氏は、こうした動きが世界中に広がることに期待を示している。






