女子大生が目をつけたのは「鉄道グッズ市場」の空白だった
2026年7月1日、大阪公立大学に在学中の門脇真歩さんが、女性向け鉄道ブランド「Cuterain(キュートレイン)」を法人化。「Cute(かわいい)」と「Train(電車)」を掛け合わせた社名が象徴するのは、鉄道グッズの価値軸をまるごと書き換えようとする挑戦です。
市場の空白を見つけた女子大生
幼い頃から電車が好きだったという門脇さん。けれど成長するにつれ、ひとつの違和感が膨らんでいったといいます。「女性がバッグにつけたい、毎日持ち歩きたいと思える鉄道グッズがまだ多くない」——。同社リリースで語られたその言葉は、鉄道グッズ市場の構造をよく映しているように思えます。
実際、鉄道グッズの主流は車両や路線をモチーフにしたデザインが中心。鉄道知識を持つファン層に向けた「スペック訴求」が暗黙の前提になっていました。
いっぽうで、SNSでは「#女子鉄」「#鉄子旅」といったハッシュタグの投稿が増え続けており、女性が鉄道を楽しむ文化は確実に広がっています。需要はあるのに、それに応えるプロダクトやブランドが追いついていない。門脇さんが見つけたのは、そんな市場の“空白地帯”でした。
しかも、これは思いつきの学生起業ではありません。KANDO株式会社とMUIC Kansaiが主催する「顧客価値共創プログラム(CVCC)」という社会実装型プログラムに参加し、事業仮説の検証から市場投入までを伴走する環境の中で磨き上げられたもの。JR西日本グループや株式会社立誠社の協力も得て、法人設立に至っています。
硬券切符が550円で蘇る

第一弾商品として登場するのが、ご当地切符キーホルダー「思い出きっぷ」。かつて全国で使われていたレトロな硬券切符をモチーフにしたアクリルキーホルダーで、文字の配置や数字、斜めのラインまで細部にこだわりつつ、Cuterainオリジナルの使用済みスタンプを加えることで懐かしさとかわいらしさを両立させています。
ラインナップは新大阪駅、京都駅、新神戸駅、奈良駅の4種類。各デザインには関西各地をイメージしたモチーフや関西弁が取り入れられているそうです。価格は550円(税込)。旅先でふと手に取れる価格帯も、よく考えられているなと感じます。
引き出しに眠るお土産問題
この話、鉄道グッズだけの話に収まらない気がしてなりません。旅先で買ったお土産やご当地グッズを、結局「かわいくないから使わない」まま引き出しにしまった経験、ありませんか。日本の観光グッズ市場には「情報やスペックが優先で、デザインは後回し」という構造が根深く残っています。
Cuterainが挑んでいるのは、その前提そのものの転換です。鉄道グッズの価値を「鉄道知識の証明」から「旅の記憶をかわいく日常に持ち込むこと」へ。たった550円のキーホルダーが、バッグに揺れるたびに旅の記憶を呼び起こしてくれるなら、それはもうグッズではなく小さなタイムカプセルかもしれません。
「なぜ今まで誰もやらなかったのだろう」——その問いが浮かぶこと自体が、私たちの中にある「当たり前」の輪郭を教えてくれている気がします。
『ご当地切符キーホルダー「思い出きっぷ」』
【価格】550円(税込)
【発売日】2026年7月10日
【販売場所】駅鉄ポップショップ エキマルシェ新大阪店(JR新大阪駅3F在来線改札内)
【ラインナップ】新大阪駅、京都駅、新神戸駅、奈良駅の全4種
【公式サイト】https://cuterain.jp






