Uber、東京でロボタクシー試験運行へ。日の丸交通が運行パートナーに

深夜の東京、アプリでタクシーを呼んでも空車が見つからない。そんな経験がある人にとって、ちょっとざわつくニュースが届きました。

いつものUberアプリを開いたら、配車リストに「ロボタクシー」が並ぶ──そんな未来が、2026年後半の東京で現実になろうとしています。

「世界一複雑な道路」に挑む、異色の4社タッグ

Uber Japanが発表したのは、東京でのロボタクシー試験運行に向けた運行パートナーシップ契約。相手は、1945年創業の老舗タクシー会社・日の丸交通です。

この取り組みには4つのプレイヤーが関わっています。配車プラットフォームを提供するUber、自動運転AIを開発するロンドン拠点のAI企業・Wayve、車両を供給する日産自動車、そして実際の運行管理を担う日の丸交通。

2026年3月に、Uber・Wayve・日産の3社がロボタクシーに関する覚書を締結。今回、その「走らせる現場」を誰が担うかが決まった形です。

使われるのは、WayveのAI Driver(自動運転を制御するAIシステム)を搭載した日産リーフ。電気自動車がAIで走る、という絵面だけでも近未来感がありますが、注目すべきはむしろ「人間の役割」のほうかもしれません。

自動運転なのに、タクシー会社が必要な理由

日本の法律では、ロボタクシーであっても旅客運送の認可を受けたタクシー事業者が運行しなければなりません。つまり、AIがどれだけ賢くても、法的な「運行主体」は人間の組織が担う必要があるのです。

日の丸交通が受け持つのは、車両の運行管理、車庫での点検・清掃・充電、稼働状況のモニタリングといった、いわば「走る前と走った後」のすべて。

さらに初期段階では、東京の道を知り尽くした日の丸交通の乗務員が「セーフティドライバー」として同乗します。完全無人化は将来の目標であり、まずは人とAIが並走するところから始めるという段階的なアプローチです。

「人かAIか」ではなく、「人もAIも」

日の丸交通の富田和孝社長は、深刻なドライバー不足という業界課題に触れたうえで、有人タクシーとロボタクシーが「それぞれの強みを発揮できる運行体制」を目指すと語っています。

この言葉が示すのは、自動運転を「人間の仕事を奪うもの」ではなく「足りない部分を補い合うもの」として位置づける姿勢です。

深夜や早朝、ドライバーが確保しにくい時間帯をAIが埋める。一方で、複雑な判断が求められる場面や、乗客とのコミュニケーションが大切な場面は人間が担う。そんな共存のかたちが、東京から始まろうとしています。

私たちがスマホでタクシーを呼ぶとき、運転席に誰がいるか──あるいは誰もいないか──を気にする日が、もうすぐ来るのかもしれません。そのとき問われるのは、技術の精度だけでなく、「安心して乗れるか」という、きわめて人間的な感覚ではないでしょうか。

Top image: © Uber Japan株式会社
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。