スーパーカミオカンデが世界初の成果。「超新星背景ニュートリノ」の兆候を検出

夜空を見上げると、無数の星が輝いています。私たちが生きるこの宇宙では、誕生から約138億年のあいだ、無数の星が寿命を迎えて激しい爆発を繰り返してきました。

その遠い記憶が、地球の地下深くでかすかに捉えられました。岡山大学などの国際共同研究グループによる発表です。

138億年にわたる星の死の記憶へ

ガドリニウムを加えることにより、反電子ニュートリノからの信号を区別して検出できるようになります。©国立大学法人岡山大学

星が一生を終えるときに起こす爆発を、重力崩壊型超新星爆発と呼びます。この爆発の瞬間に、膨大な数の素粒子「ニュートリノ」が宇宙へと放たれます。

かつて宇宙のどこかで放たれた粒子たちは、消えることなく今も空間を漂い続けています。これを「超新星背景ニュートリノ」と呼びます。

宇宙の歴史そのものともいえるこの粒子ですが、他の物質とほとんど反応しない性質があります。そのため、地球まで届く極めてかすかな信号を捉えることは困難でした。

岡山大学とスーパーカミオカンデ国際共同研究グループは2026年9月、岐阜県の地下深くに設置された大型検出装置を使い、この粒子の兆候を世界で初めて捉えたと発表しました。

5000日の蓄積が導いたシグナル

観測の決め手となったのは、約5000日分という途方もない時間のデータ解析と、観測技術の改良でした。

研究チームは2008年から2020年までの純水による観測データ3349日分に加え、2020年以降の1653日分のデータを分析しました。

後半の期間では、水の中に希少金属のガドリニウムを溶かす技術を導入しました。これにより、目的の反応で生じる中性子を見分けやすくなり、余分な雑音を減らすことに成功したのです。

蓄積されたデータを詳細に検証した結果、統計的な信頼水準99.5パーセントという高い精度で、背景ニュートリノの兆候が捉えられました。

研究を率いた岡山大学の小汐由介研究教授は、見果てぬ夢と諦めかけたこともあったと振り返りつつ、さらなる確定的な発見を目指すと述べています。

私たちの身体をつくる元素の多くは、かつての星の爆発によって生まれました。地下深くで宇宙のささやきに耳を澄ませる試みは、私たち自身のルーツを辿る旅なのかもしれません。

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