ジェイムズ・ウェッブ望遠鏡「宇宙船発見」の真相
「ついに地球外生命体発見!?」
2024年9月、宇宙の謎解明に期待が高まるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が、未知の飛行物体を捉えたという噂がSNSを中心に拡散し、世界を熱狂させた。しかし、その情報は本当に正しいのだろうか?
YouTube発、拡散の闇
真偽不明な情報の渦
発端は、YouTubeチャンネル「VETTED」に投稿された1本の動画だった。米オンラインサイト「Snopes」によると、発信者はUFOや地球外生命体に関する情報を発信する「Psicoactivo Podcast」というチャンネルで、投稿日は2024年9月17日。動画は「JWSTが何かを発見した」という内容で、その情報はアメリカ議会にも共有され、国家安全保障局(NSA)や国防総省も調査に乗り出していると説明されていた。
匿名の情報源を根拠としたこの動画は、たちまちXやTikTokなどのSNSを通じて拡散。JWSTが捉えた物体は、地球から約10光年離れた地点を不自然な軌道で移動しており、地球外生命体の宇宙船である可能性が高い、という噂が瞬く間に世界中を駆け巡った。
沈黙の真相
公式見解と「ノーコメント」の重み
しかし、このセンセーショナルな情報に、公式機関は沈黙を守っている。
SnopesがNASAやアメリカ議会など関係各方面に確認を取ったところ、JWSTがそのような物体を発見したという公式発表は一切確認できなかった。宇宙に関する情報サイト「Above The Norm News」も、2024年9月22日付の記事でこの噂の信憑性を疑っている。
さらに、2022年に未確認航空現象(UAP)に関する公聴会を開催したアンドレ・カーソン下院議員に、報道機関「Ask a Pol」がJWSTの発見に関する情報を求めたところ、「ノーコメント」という回答だったそうだ。一部の人々は「ノーコメント」という言葉を、真実を隠蔽するための常套句と解釈し、憶測をさらに加速させた。しかし、別の見方をすれば、憶測を助長するような発言を避けるための政治的な判断だったとも考えられる。
情報社会の光と影
信じるべきは何なのか?
今回の騒動は、現代社会における情報拡散の光と影を浮き彫りにしたと言えるだろう。誰でも簡単に情報発信できる時代だからこそ、私たちは情報源の信頼性を批判的に吟味し、ファクトに基づいた判断をする必要がある。
特に、宇宙や地球外生命体といった未解明な領域に踏み込んだ情報は、好奇心を刺激し、冷静な判断力を鈍らせる可能性を秘めている。魅力的な情報に飛びつく前に、一度立ち止まり、情報源、裏付けとなるデータ、専門家の意見などを確認する習慣を身につけることが重要なのは言うまでもなく。
インターネットやSNSが普及した現代では、誰でも情報発信者になれると同時に、情報を受け取る側のリテラシーも問われている。
👀 GenZ's Eye 👀
超常現象など、嘘みたいな話ほど信じたくなってしまうが、情報の正確性に触れ、嘘の情報の拡散に加担しないように務めることも、現代では重要。情報はもはや“武器”と化しているとも考えられる。