この宇宙には、予想をはるかに超えた銀河が拡がっていた
この宇宙には、いったいどれだけの銀河が存在しているのか。その答えを解明すべく、銀河の“国勢調査”ならぬ大規模な調査研究が定期的に行われているようです。その結果が今月13日、NASAより発表されたのですが…前回の計測とはずいぶん開きがあったとか。
全宇宙の銀河の総数は、
従来の推測より10倍も多かった
これまで、宇宙には約2000億個近い銀河が存在すると試算されてきました。ところが、最新の調査でこの数字がとんでもなく少なく見積もられていたことが判明。
NASAや欧州宇宙機関(ESA)らによる共同調査が今回示した結果は、その10倍にあたる約2兆個もの銀河が存在するというのです。
なんだか途方もない数字すぎて、星空を見上げるくらいの私からすれば、イマイチ現実味がない話に思えてなりません。
それよりよっぽど、どうして今回10倍近い誤差に気づくことができたのか。そっちの方に興味がいってしまいます。従来の2000億という数値も今回の数も、ともに地上600kmで地球の周回軌道にある「ハッブル宇宙望遠鏡」が示したデータによる試算だというのに。
銀河を3Dマップ化し
個数密度を試算した結果…
今回の調査をものすごく簡単に説明するならば、ハッブルが撮影した画像を元に他の天文学者らが公開しているデータをかけ合わせ、そこから銀河を3D化した分布図を作成。これにより、距離ごとの銀河の個数密度が正確に計算できるようになった、とは研究を指導した英ノッティンガム大学のChristopher Conselice教授の弁。
こうして新たな数学的モデルを用いることで、現存する望遠鏡では観測できない銀河が“数字として”見えてきた、というわけです。
見えない銀河を探る冒険
137億年とも言われる宇宙の歴史のなかで、こうした望遠鏡を使っても目に見えない小規模な銀河は、宇宙進化の過程においてかなり初期の段階で存在していたようです。
やがて、それが大きい銀河に吸収され、飲み込まれ、数を減らしてきました。ただ、理論上では2兆個近い銀河が存在することになる。というのが研究者たちが今回たどり着いた推測。
それでも、この広い宇宙に存在する銀河のうち、確認ができるものはまだ全体の1割にも満たないとConselice教授。NASAが中心となって開発が進む、次世代型望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」が完成するころには、さらに銀河の数が増える可能性だってある、かもしれませんね。