すべてのマネジメント層が身につけるべき、7つの心得
リーダーシップというと、強烈な個性で人を引っ張る人物を思い浮かべるかもしれません。しかし実際は、人の痛みを思いやることができ、人間的に尊敬される優しい人物こそトップマネジメントに相応しいのです。強さではなく、弱さもリーダーに求められる素質ではないでしょうか。
ここでは、私自身の経験から学んだ、マネジメント層が身につけておくべき心得を紹介していきましょう。
01.
まずは、弱い部分を
自覚することから
リーダーに欠かせない要素として「人間力」があります。「ついていきたい」と思われるには、優れた人間性が不可欠なのです。
ただし、最初から優れた人格を持った人は存在しません。大切なのは、徳を持った優れた人格者たろうと努力することです。
まずは、自らの弱さを自覚しましょう。傲慢にならず、現状に満足せず、高い目標をもちましょう。謙虚さを持ち続けることのできる人が、成長し続けることができるのです。
02.
部下にも上司にも
同じ態度で接する
スターバックスの元幹部のひとり、ハワード・ビーハーの著書に「かぶる帽子をひとつにする」という言葉があります。周りの環境に合わせて自分を変えようとする人がいますが、これでは自分が参ってしまいます。自分は自分にしかなれないのですから、常に自分らしく振る舞えばよいのです。
また向き合う人によって態度を変えていたのでは、人間性を疑われます。上司にも部下にも、自分らしく同じように接しましょう。
03.
言動の基準は、
「子どもに見せても恥ずかしくないか?」
信用というものは、ちょっとしたきっかけで無くなってしまうものです。
例えば悪口。言っているときは気持ちいいかもしれませんが、相手に自分のことも悪く言う人なのではと思われてもしょうがありません。自慢話も同様です。相手を不快にさせるだけです。また地位や権力には様々な人が集まってきたり、いろいろな誘惑がやってきたりします。そんなときこそ、人間力が試されていると思ってください。
リーダーは常に誰かに自分の行動を見られているという感覚を持たなければなりません。今やろうとしていることを自分の子どもに見せられるか、と自問自答することもよいでしょう。地位とは権力を意味するのではなく、多くの人に責任をもつことなのです。そういった権力に対する「畏れ」を持ちましょう。
04.
社会的な成功ではなく
人間的な成長を目指す
これまでたくさんのリーダーにお会いしてきましたが、ザ・ボディショップ創業者のアニータ・ロディックさんは本当に素敵な人物でした。彼女が目指したのは女性の不安につけこんだりしないで、ウソをつかないビジネス。愛や思いやり、直感で会社を運営することで、社会に大きな変化をもたらすというのが彼女の信念です。この考え方は広く受け入れられ、ザ・ディショップは大きく成功しました。
彼女は数百億円といわれる遺産を、娘達ではなく財団に寄付したと言われています。彼女は自身のことを「経営者」ではなく、「アクティビスト」、つまり社会変革の活動家と言っていました。
地位や財産などの社会的な成功を目指すべきではありません。社会によい影響を及ぼし、人間的な成長することこそが真の成功なのです。
05.
辛い経験値こそが
リスペクトの対象になる
若い頃の私は、やる気のない人や仕事のできない人に対して「どうしてやる気がないんだろう」「なぜやろうとしないんだ」と思うような傲慢な人間でした。しかし、自分がノイローゼになったり、いろいろな挫折を経験したことで人の痛みが分かるようになったのです。
厳しい飛び込み訪問の厳しいセールス時代の経験も、後々生きてきました。転職したコンサルティング会社では、セールス時代の話は、現場を知らない優秀な若手コンサルタントからリスペクトを集めることができました。
ここで、勇気が湧いてくる、ランディ・パウシェの言葉をご紹介しましょう。
「レンガの壁がそこにあるのは、理由がある。僕の行く手を阻むためにあるのではない。その壁の向こうにある『何か』を自分がどれほど真剣に望んでいるか、証明するチャンスを与えているのだ」
06.
自分のためではなく、
部下や会社のために動く
部下の立場に立って考えてみましょう。自分の出世のために働いているリーダーについていきたいと思うでしょうか。とてもその気にはなれないはずです。
部下がついていきたいと思うリーダーとは、部下のため、会社のため、社会のため、心からそう思って動いているビジョンを持った無私のリーダーです。
どんなに頑張っていても、結果が出なかったり、部下から不満をもたれたり、恨まれたりすることもあるでしょう。それもリーダーが耐え抜くべき試練。リーダーとしての役割を正しく担っていくことで、そのうち必ずよい方向へ向かっていきます。
07.
結局はこれに尽きる!
自分を信じよう
妥協する、ということではありませんが、理想の80〜90%までいっていれば、それでよしとすべきなのです。100%完璧を求めすぎず、ある程度のところで割り切ることを覚えないと、どこかでパンクしてしまいます。
リーダーになって心を病んでしまう人がいますが、「こうでなければならない」というプレッシャーが強すぎるのだと思います。このゆとりの無さは、部下からもマイナスに見えるでしょう。
リーダーとして成功するためには、自分の運や星を信じることです。短期的には目の前のことに悲観的になっても、長期的にはきっとなんとかなる。長期的には楽観的に、なんとかなると努力を続けることです。絶対にあきらめずに、自分自身を信じつづけてください。奮闘を期待しています。
『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』
コンテンツ提供元:サンマーク出版
株式会社リーダーシップコンサルティング代表。ジェミニ・コンサルティング・ジャパン、日本コカ・コーラ株式会社、株式会社アトラス代表取締役社長、株式会社タカラ常務取締役、株式会社イオンフォレスト代表取締役社長などを経て、スターバックス コーヒー ジャパンのCEOとして「100年後も光り輝くブランド」を掲げ、業績を右肩上がりに成長させる。現職では、次世代のリーダー育成に力を注いでいる。