ビジネスパーソンが知っておきたい「6つの読書術」
「本を読みなさい」なんていう言葉は漠然としていますし、聞き飽きているかもしれません。しかし、ちょっと違った目線からビジネスパーソン、とくにリーダーに役立つ読書術を紹介したいと思います。
01.
自らの成長で捉え方が変わる!
同じ本を再読してみる
つい最近、『坂の上の雲』という小説を再読しました。以前は主人公の秋山兄弟や東郷元帥など英雄たちの活躍に心が踊りましたが、今回は違ったところがおもしろかった。やはり自分自身の成長によるものだと思います。
とくに日露戦争における船ドッグの整備工さん達の寝食忘れた勝利への貢献が印象に残りました。そして彼らの気概や危機感が今の日本に失われているのでは、と感じました。以前読んだときには気にもとめなかった部分です。
経験を重ね「日本をよりよくするためには」という観点をもてるようになったからこその気づきだと思います。同じ本を何回も読むなんてという方もいらっしゃるかもしれませんが、新たな発見が必ずあります。ぜひやってみてほしいと思います。ワタシはこの本をもう5回異常読んでいます。その度に新しい発見をしています。
02.
同じ著者の本を読むと、
体系的な学びとなる
まず、いいなと思った本はその場で必ず買うようにしています。そのときに買わないとタイトルを忘れてしまったり、出会いそのものを思い出せなくなることがあるためです。まさしく一期一会です。そして、私は作家で選ぶことにしています。その作家を好きか嫌いか、ということではありません。役に立つかどうかで選びます。
例えば私なら、現代社会の最先端の情報を知りたいときには、マッキンゼーのコンサルタントだった大前研一さん、歴史観や日本の大局観を身につけるには渡部昇一さんや小室直樹さん。テーマごとに「この人」という人を見つけたら、その著作を全部読んでいくと、その分野での体系的な考え方を身につけることができます。
03.
「マーカーと名刺」は
読書の必需品!?
小説以外はマーカーを持って読みます。気になる箇所に線を引いておけば、後から軽く読み返すときに斜め読みができるからです。さらに、2度目に読むときは色を変えれば、1度目との変化を目で感じることができます。
読み終わった日付を書いておくのもよいですが、自分の名刺を挟むのもよいでしょう。「転職したばかりで読んだな」「このときは営業で苦労していたな」など、過去の思い出を振り返りながら再読できるからです。
さらに、心に残った言葉は、ノートに書き写すようにしています。ノートも万年筆も少し高価なものを買ってきて、心を込めて書くのです。
それが何冊か溜まっていくとあなたにとって本当に大切な宝物になるでしょう。
04.
リーダーは
本を購入し、贈るべき
書き込みをしたり、マーカーで線を引いたり、何年か後にもう1度読んだりできるのは、自分で購入した本だけ。また自分で投資をすれば読む真剣さも変わってきます。ですから本はできるだけ自分で購入すべきです。
また、いいなと思った本を部下にプレゼントするのもよいことです。お互いが同じ情報や考え方を共有することによってコミュニケーションのステージがアップします。共通言語を手に入れることができるからです。書籍での情報共有は価値があります。例えば『ビジョナリーカンパニー2』などの経営書の名著を読めば、「第5水準のリーダー」や「ハリネズミの理論」などの意味を共有かできます。
ただし、部下の関心が現在どこにあるかの見極めはとても重要です。一方的な押しつけはお互いのためになりません。たぶん本をプレゼントしても読んでくれないと思います。
05.
若い時は「ハウツー本」
リーダーになったら「小説」へ
20代のときには、時間の使い方や仕事の仕方のようなハウツー本を読んでいました。今でこそ読まないハウツー本ですが、若いときに読んでおいてよかったと思っています。それをあれこれ試しながら、自分なりの時間管理や仕事術を身につけることができました。
ただしリーダーになってから、そんなハウツー本の言葉をそのまま語ってしまっては、部下がついてきません。部下が知りたいのはリーダー自らの経験に基づいた考えや知識だからです。
50歳を過ぎた今は、人間としての感性を高めるような本、心を震わせられるような本をもっと読まなければならないと思っています。リーダーシップというのは、人をいかに動かすか。人の心の動きを知っておかなければならないと思うのです。
その意味では、映画も同じです。非日常を味わい、主人公になりきり、ときに号泣しながら観ています。
06.
必要な資質は
歴史書から学べる
私の大好きな1冊に、司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』があります。この本から学んだのは、「リーダーには志が必要だ」ということ。しかもできるだけ大きな志が。
明治維新の時代には多くの志士が現れました。けれど、当時「日本」というとてつもなく大きなスケールで物事を考えていたのは彼だけです。だからこそ多くの人の心を動かすことができたのです。
組織で働くなかで、常に経営者の視点を意識してみてください。会社全体の中で、自分のチームは何をすべきなのか。そんな高い視座を持った人物こそ、経営者は登用したいと考えています。
『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』
コンテンツ提供元:サンマーク出版
株式会社リーダーシップコンサルティング代表。ジェミニ・コンサルティング・ジャパン、日本コカ・コーラ株式会社、株式会社アトラス代表取締役社長、株式会社タカラ常務取締役、株式会社イオンフォレスト代表取締役社長などを経て、スターバックス コーヒー ジャパンのCEOとして「100年後も光り輝くブランド」を掲げ、業績を右肩上がりに成長させる。現職では、次世代のリーダー育成に力を注いでいる。