「帰り道」のほうが早く感じるのはナゼか?オランダの大学による研究結果

行きよりも、帰り道の方が短く感じる。そんなふうに思ったことはありませんか?実はこれまでにその謎を解明しようと、多くの科学者が調査を行っており、科学の世界では「リターン・トリップ・エフェクト」と呼ばれる有名な話題でもあるようです。

様々な情報の分析を行うwebサイト「CityLab」の記事によれば、これまでに行われたいくつかの調査の結果を検証することで、その理由が見えるといいます。あの不思議な感覚、一体どうなっているのでしょう?

85singo_shutterstock_200055083

「慣れ」は関係ない

2011年、科学誌「Springer」に掲載されたオランダ・ティルブルグ大学が行った3つの実験結果から分かった研究結果によれば、帰り道が短く感じる理由は慣れではないようです。

毎日のルーチンは新しい体験よりも作業が楽になるため、一度経験したことのある往路よりも早く辿り着くことができるのでは?という推測がなされましたが、移動時間や道を覚えているかどうかは関係なかったと言います。

1つ目の実験では、69名を対象時間感覚を検証。同じ距離を車に乗って往復したところ、全ての参加者が帰り道を短く感じていました。もちろん移動時間は変わっていません。

さらに、路上の様子を覚えている人は少なく、道に慣れたということは実証できませんでした。

85singo_shutterstock_262049570

新しく通る道でも
短く感じる

さらに、帰り道が行きと同じ道かどうかも、関係ないことがわかっています。

2つ目の調査では、93名を対象に自転車を使ってある道を往復する実験を実施。一部の参加者には、行き帰りで別のルートを走ってもらいました。が、帰り道に別のルートを使った場合でも、時間を短く感じる効果が現れました。

この結果からも、行き帰りの道が同じかどうかや、道に対する慣れが関係ないことがわかります。

帰り道を短く感じる理由は
「予測」にあった!

これまでの調査結果から、この効果の原因が道に依存するものではないということが言えます。さらに調査を進めていくと、帰り道を短く感じる効果の原因は慣れよりも往復にかかる時間の「予測」にあることがわかりました。

3つ目の調査では、139名の参加者を対象に、自転車で目的地へと移動する人の様子を捉えたビデオを見てもらいました。その際、映像に登場するライダーが、元に場所に戻ることになった時にどれくらいの時間がかかるのかを予測してもらいました。もちろん移動する距離は往路と同じです。

ちなみに、この調査は、行きの予測が帰り道の時間感覚に影響しているのではないかという推測のもとに行われたもの。これまでの調査でほとんどの参加者が往路にかかる時間を少なく見積もっており、到着までにかかる時間を長く感じている傾向があったのです。

85singo_shutterstock_233641891

この調査でライダーが往路にかけた時間は7分。しかし、復路に対する参加者の予測は殆どの場合、9分ほどという結果に。誰もが復路にかかる時間を余分に計算していることがわかりました。

さらに、参加者に対して「初めて通る道は、思った以上に時間がかかるものだ」と事前に伝えたところ、このリターン・トリップ・エフェクトの効果は消失。

これらの調査結果から、以下の5つのことがまとめとして言えます。

01.人は往路にかかる時間を短く見積もっている。02.予測した時間よりも、実際にかかる時間が長くなる。03.その経験から、復路にかかる時間を過剰に見積もる。04.結果、帰り道は予測よりも早く目的地に到着する。05.行きよりも帰り道のほうが短い、という感覚を覚える。

つまり、行きの予定時間を短く見積りすぎていることが原因で、帰り道の感覚までもが変わっていたということなんですね。これって、せっかちな人ほどその感覚が強くなるということなのでしょうか?

ちなみに、この研究は今も世界中で調査が進められているもの。今後も認知機能との関連性など新たな発見があるかもしれません。

もしかしたら、性格などによってもこのリターントリップエフェクトを感じる人とそうでない人は分かれるのかもしれませんね。

Reference:Springer, CityLab

現生ペンギンの共通祖先は、いつどのようにして地球上に現れたのか──? これまで多くの研究者たちが調査を続けてきたその謎が、ついに解明された。
旅行へ行くとスッキリする、行く前に比べて自分の中で変化がある気がする、なんて事を経験したことがある人は多いのでは?この記事では、研究や調査結果を通して「な...
世間のムードはまだまだ重たい。そこで、少しでもポジティブになってもらいたいと思い、「幸福度」に関する研究結果をいくつか紹介。
CMや雑誌、ネットの特集などでも扱われることの多い腸内細菌。なんと、その細菌が「睡眠」にまで影響を与えていることが、米「ミズーリ大学」の医学部研究チームの...
おうちカフェにもおすすめ。こんな時だからこそ楽しみたい、人気のお取り寄せスイーツを「バターサンド」、「チョコテリーヌ 」、「ヴィーガンスイーツ」、「クッキ...
イギリスの大学が長く寝た方がウエストのサイズが細くなるという研究結果を発表しました。これまでも睡眠の重要性は語られてきたことですが、さらに注目したいところです。
先日、「ノッティンガム大学」の研究チームは、米天文学誌『アストロフィジカル・ジャーナル』において最新の研究結果を発表。その論文によれば、計算上、銀河系には...
オーストリアのグラーツ大学の研究チームによれば、多少のアルコール摂取が創造性が上がると判明。ただし、過剰摂取だと創造性が上がらないという結果も出たうえで、...
「マッコーリー大学」と「シドニー大学」の研究チームが、2015年から2017年のオーストラリア・ニューサウスウェールズ州でのTwitter投稿を「We F...
記憶力UP・仕事が捗る・前立腺がんのリスク低下・気持ちがポジティブに。セックスと健康にまつわる意外な研究結果まとめ
「Nintendo Switch」から同機では初となる本体カラー変更モデル「Nintendo Switch マリオレッド×ブルー セット」が2021年2月...
オランダ東部にあるトゥウェンテ大学。この大学の敷地内には、9階建ての建物の側面に30mものクライミングウォールがあります。グリップの数は2500個。オラン...
「幸せ」。古来より論じられてきたテーマについて、ハーバード大学が科学的に研究するセンターを設立しました。もちろん、闇雲に追いかけるわけではありませんよ!「...
イェール大学とオックスフォード大学の研究結果によれば「運動はメンタルヘルスに効果的」だと判明。また「運動はお金よりも人を幸せにする効果がある」との事実も。
「『科学によって証明された』と言われると、偏りのない事実のように感じられるけれど、実はそうではない側面がある」と語るのは、サイエンスジャーナリストのAnn...
アメリカの患者支援団体である「米国心臓協会」は「唐辛子」が死亡リスクの減少に関わっているかもしれないとする研究結果を発表した。
今やミルクは選ぶ時代。植物性ミルクを自宅で作って楽しむ。毎朝の新習慣にいかがですか?
月刊誌『田舎暮らしの本』2月号(宝島社)で、「2021年版第9回 住みたい田舎ベストランキング」が発表。「大きな市」では愛媛県西条市、「小さな市」では大分...
ちょっと気持ちを高めたいときや気合を入れたいときに役立つのが、そう、“音楽”ですよね。アッパーな曲を聴いているとダウナーな気分も不思議と上向いてくるし、き...
磁場に入ると「悦び」を感じるーー。そんな実験結果が「Nature」誌に掲載され話題になっています。実験を行なったのは、バージニア大学の研究チーム。磁力を使...
今月、米「プリンストン大学」の研究者たちは、家庭菜園がサイクリングやウォーキング、外食と同じく「感情の幸福度」の向上に影響するという研究結果を発表。その詳...
アメリカの新しい研究で、「自分より容姿が悪い」と思っている夫を持つ妻のほうが、自分より外見的魅力の高い夫を持つ妻より、幸福度が高いことが分かりました。イケ...
米国「アーカンソー大学」の研究者は、カフェインが問題解決とブレインストーミングの2つの実行能力にどう影響するのかの研究結果を発表。その結果はカフェインは問...
フードロス問題に関して、アメリカ・コーネル大学が「食料品店を増やすことが、有効なフードロス対策になる」という研究結果を発表。近くに食料品店があれば、消費者...