朝8時〜13時まで!「5時間労働」で従業員の生産性を2倍にあげた会社
近年、いわゆる9時17時の8時間労働が、海外では“仕事中毒”を生むだけだと、ワークスタイルが見直されつつあります。「労働時間を短縮することで生産効率が上がる」学者の意見も、実際の現場でも、そんな声が頻繁に聞こえるようになってきました。
仕事は13時で終了
午後は各自でインプットに充てる
大胆な労働時間の見直しを行った結果、労働者たちのやる気や生産性を向上させ、大きな収益を収めた米企業があります。従業員はたったの9人。スタートアップの小規模さゆえの改革だったとも言えるでしょう。それでも、2014年サンディエゴで最も急成長した企業に選出されたと記事は伝えています。
「Mashable」にその実態を紹介したStephan Aarstol氏は、米サンディエゴでスタンドアップパドルボートを販売するメーカーのオーナー。彼の会社は午前8時に始まり、午後1時には終業する5時間労働のスタイルを採用しました。
“趣味を売る”という商品の特異性もあるでしょうが、消費者の動向を知るためにも商品の魅力を宣伝するにも、何より必要となるのは現場の声。社員らはみな、午後のフリータイムを自由に使いながらも、思い思いに市場リサーチに充てているそう。これが、「企画会議やセールストークの場で生かされている」とAarstol氏は強調します。ランチタイムも挟まず5時間、とにかく根を詰めて各自が働くことで、賃金も落とすことなく、従業員の生産性を2倍に上げることができたそう。
ハッピーな人ほど生産性が高い!
短時間の労働は
会社全体の作業効率UPに
さて、一日の労働時間を3時間も減らしても、生産性が落ちるばかりか逆に上がる根拠はどこにあるのでしょう?その理由のひとつが「個人の幸福感(満足度)」にあるとする、経済学者たちの研究成果を「The Gurdian」が報じています。
研究者らは、労働者の生産性と幸福には明確な相関関係があり、「気分の浮き沈みが生産性を左右する大きな要因だ」と指摘します。幸せを感じている人の作業は平均して12%向上したのに対し、不満を抱いていると約10%近く効率は下がるという結果がそれを物語っているのでしょう。
感情は物理的にも大きなエネルギーを生み出します。また、働く時間を短くすることで、ストレスを過度に溜めず、感情を上手にコントロールする時間に充てることができる。こうしたことが、短時間で爆発的な集中力を生む要因なのかもしれません。
国を挙げて6時間労働を推奨する
スウェーデンの取り組み
さて、8時間から6時間に労働時間を短縮することで、生産効率が上がり、従業員の意欲も高まることを実証するため、国を挙げて試験導入を始めたスウェーデン。まだ、実際に6時間勤務とする企業の数こそ少ないものの、生産性向上の効果はすでに出ているようです。
「思うほど効率が上がらず生産性が悪いだけ」の8時間労働には、集中力が持たない、ダラダラと作業してしまう、仕事中にSNSのチェックをしてしまうなど、長いが故にムダな時間を生み出す負の連鎖があることを「Fast Counpany」は指摘します。やはりここでも、重要なのは従業員のモチベーション維持でした。
はたして、日本社会に一日6時間労働(ないしは5時間労働)が浸透する日は来るのか?それとも机上の空論?いづれにしても、実現はまだまだ先の話かもしれませんね。
Reference:Mashable , Fast Comnpany , The Gurdian