深刻化する「スマホ依存症」。風刺した作品に考えさせられる
スマホ依存が家族に及ぼす影響をシニカルに捉えた広告作品「Phone Wall」を紹介します。中国の心理学研究所が広告会社に制作を依頼したもの。急速に発展する中国国内のネット環境に、いま、「心が取り残される」と警鐘を鳴らす人々がいます。
親子を隔てるスマホの壁
日常のワンシーンを切り取った3枚のイメージ。大きなスマホが、父と息子、母と娘、そして夫婦の間に壁となって立ちはだかっています。もちろん、互いに顔を合わせることはできません。ディスプレイの照明に照らされた画面右側とは対照的に、背面の子どもたち(3枚目は夫)は影が落ち、暗くどんよりした雰囲気を見るものに印象づけていると思いませんか?
心が置いてけぼり…
社会現象化する
中国のスマホ依存
中国では、携帯電話の接続状況が急速に伸びているそうです。2015年、ついに中国国内のSNSユーザー数が3億3,600万人を超え、2019年までには5億人近くに達する予測。ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の調べでは、ネットユーザーたちの平均滞在時間は、一日2.7時間。これは、日本やアメリカをはじめ、先進国の中でも群を抜いて高い数値だそう。
世界各国でも社会現象化している“スマホ依存”に、いよいよ中国も突入した証拠だと「Ogilvy&Mather」のLillian Wu氏は指摘します。また、あまりの急速な発展に文化形成が付いてこられず、「非常に脆弱で危険な状態。心だけが取り残される心配がある」との懸念も彼女にはあるようです。
こうした社会的状況をシニカルに捉えた作品が、この「Phone Wall」だったのです。どれも単純明快でメッセージ性の強い3枚のイメージは、北京市内に掲示され、多くの人の耳目に触れました。今年カンヌで開催された「国際広告祭(2015)」でも、高く評価されたそうです。
Licensed material used with permission by Ogilvy & Mather China