Netflixは無期限休暇もOK!?シリコンバレーの「育休制度」がすごかった・・・
Google、Amazon、Netflix、Facebook、世界を牽引するハイテク企業が集まるシリコンバレー。いま、各企業が最も力を注いでいるもののひとつが、充実した育児休暇制度の導入だと「TIME」誌が報じている。2015年、その動きはとくに顕著。どうやら制度導入の背景には、各企業のし烈なHR戦略があるようだ。
優秀な人材獲得競争に育休は不可欠!?
2015年11月、Amazonは出産した女性の育児有給休暇を、最大20週まで延長すると発表。さらには同社の制度として初めて、育児休暇を男性社員にまで拡大するとし、話題を呼んだ。柔軟な環境とスケジュールを従業員に提供することが、優秀な人材を呼びこむために欠かせない。これまで、ハイテク企業に見え隠れしていた“ブラック感”を一掃する戦略に打って出た背景を「TIME」は、人材マネジメント協会(SHRM)のデータをもとに、次のように分析している。
彼らの調査によれば、企業は向こう10年の間に、労働人口の75%がジェネレーションY(1975年〜1989年に生まれた世代)で構成される見通しだ。両親がともに戦後生まれの彼らは、「個性」や「自分らしさ」に重きを置き、消費行動やライフスタイルに独自の価値観を見出している。元より、育児休暇も他の世代よりも、重要なメリットとして捉える傾向があるという。
つまり、将来的に企業価値を生み出していくジェネレーションY世代から、優秀な人材を獲得する秘策のひとつが、この育児休暇制度だということ。
子どもの誕生から1年間
必要なだけ休んでOK!
ところで、アメリカは先進国の中でも、唯一育児休暇が義務付けられておらず、法制化されていない。それだけに、各企業ごとに独自の制度を設けて、従業員の福利厚生を図っている。
今年、シリコンバレーの新たな金字塔となる育休制度を発表したのが、Netflixだ。同社は8月、出産または養子縁組後、最大で1年間の育児休暇を両親で受けられる新制度を導入し、多くの賞賛を得た。人事責任者のTawni Cranz氏は、「CNBC」の取材に対し以下のように答えている。
「従業員がNetflixのビジネスの文脈を理解し、責任をもって自由な判断ができるよう、“自由と責任”のカルチャー形成に注力した」
ただし、この制度は、ストリーミング部門のサラリーマンのみに適用されるもので、DVD部門で働く従業員は、その恩恵を受けることができないらしい。
タブーを打ち破ったFacebook
卵子の凍結サービスまで!?
Netflixがポリシーを変更する前は、Facebookが最も充実した制度を誇っていた。出産した女性社員はもちろん、男性も養子縁組でも、それぞれ16週間の有給休暇を提供。もちろん、育児休暇としての扱いだ。
これまでタブー視されがちだった、ハイテク企業における男性社員の育休取得を、真っ先に打ち破った同社の功績は大きい、と「Business Insider」は、休暇を取りやすい環境づくりを促進している企業文化を評価する。
Facebookはまた、子どもが生まれる従業員に4,000ドル(約48万円)を現金支給したり、卵子の凍結保存のサービスを提供するなど、ユニークな福利厚生制度を敷いている。
タブーから“スタンダード”へ
SHRMが実施した調査によれば、アメリカでは現在、雇用企業の約21%が女性に育児のための有給休暇を提供しているという。ちなみに男性は約17%。2014年の同調査では、男女合わせてもわずか12%に留まっていたことからも、今年の増加率が顕著であることが分かるだろう。
タブーからスタンダードへ。変革を迎えたシリコンバレーに、優秀なジェネレーションYが果たして、どれだけ興味を示すのだろう。