全面ガラス張りの「ツリーハウス」は、1本の木と一緒に暮らす家
家の真ん中にシンボルツリーを植樹したデザインハウスを目にしたことがある人でも、このツリーハウスのインパクトは絶大のはず。なぜなら、こちらは自然の木々が生い茂る森の中。しかも、木を切り倒すでもなく、木の上に小屋を建てる訳でもない。木そのものをガラスの家で覆ってしまおうという発想なんです。
外から丸見え。
全面ガラス張りのツリーハウス
大自然の中で暮らしたい──。その願いを実現させるコンセプトハウスをデザインしたのは、カザフスタンの建築家Aibek Almassovさん。1本の木も切り倒すことなく、木そのものを全面ガラス張りの家で囲い込むという、独創的なアイデア。これなら、木そのものを傷つけることなく、自然を間近に感じながら「共生」することができる、というアイデアだとか。
近年はやりのガーデンシェアリングならぬ、こちらは「森そのものをシェア」してしまおうという大胆な発想。
「二地域居住において、都市生活の喧騒に変わるものを自然の中で提供したいと思っていました。それも、自然を傷つけることなく。人間は自然を尊重しつつも、これまで破壊を繰り返してきました。森林伐採を回避しつつ、未来に役立つソリューションを模索するなかで、この木全体を覆うアイデアにたどり着いたんです」
自然との「調和」が主題にあったデザイナーAibeck氏。彼のコンセプトに興味を示すメディアは後を絶たず、『ナショナル・ジオグラフィック』や『ディスカバー・チャンネル』、『アニマル・プラネット』などで、このガラスのツリーハウスのドキュメンタリー番組が制作されたそうですよ。
木と共に暮らす
サステイナブル住宅
ドーナツ構造の円の中心に来るのが木の幹。それを取り囲むような円筒状に居住空間が構成されています。ここで紹介するタイプのハウスは、外壁の代わりをなすガラス窓に沿って上階へとらせん状の階段を登っていく高さ4階建てのもの。
とはいえ、実際には木の枝や葉が生い茂っている訳だから、それほど広い空間を期待することはできなさそうですが…。その点はAibeckさんも織り込み済み。ここは、あくまで都会の賑やかさから週末避難してくるセカウンドハウス的な役割。木々と一体になることが、何よりも優先されるという認識なんだそう。なるほど、快適さの追及よりも、自然との調和が優先。確かにわかる気がします。
窓ガラスには特殊な太陽電池パネルを組み込み、生成された電力を家庭用の蓄電池に換える、パワーウォールのテクノロジーを導入。さらには、雨水をろ過して日常生活用水として代用するなど、エコロジーへの配慮も忘れません。何より、木そのものから、つねに新鮮な酸素が供給されるのもポイント。
もちろん、共に暮らす木への水やりや、日陰をつくるシェイドカバーや、悪天候が続くときには専用のスポットライトを照射するなど、メンテナンスも欠かせません。
いよいよ、実現間近!?
「森の中の木を丸ごと囲う」という、斬新すぎる発想ゆえに、これまでコンセプト段階で止まっていたツリーハウス計画。ところが本人曰く、最近、前向きに興味を示してくれる投資家がついに現れ、いよいよガラス張りのツリーハウス実現に向け、動き出すんだそう。