服役中の女性にチャンスを。デンマークブランドの新たな試み
服役している人は、統計的に見ると男性が圧倒的多数です。しかし貧困に苦しむ国では、女性の比率も多いと言われています。女性は男性以上に適切な教育を受けにくく、若くしてシングルマザーになるケースも多くあり、生きていくために犯罪に手を染めてしまう、というケースも後をたたないそうです。
そんな「服役する女性」が作ったブランドがあります。デンマーク・コペンハーゲン発の「CARCEL」です。
「刑務作業」で
つくられた服
多くの刑務所では、懲役刑の一部として、受刑者に「刑務作業」が課せられています。内容は、服や家具の制作などが一般的です。
多くの女性が刑務所で服を作っていて、もちろん働いた分の賃金は出るのですが、刑務作業で作られた商品は「刑務作業品」として特別なルートで売られているため、市場に出回らず、一定以上の価格になることはありません。
女性受刑者に
仕事と可能性を
そこで「CARCEL」は、高品質な服を女性受刑者と協力して作ることを考えました。最初のコレクションは、ペルーのクスコ刑務所で手がけたもの。
女性たちはブランド服を作ることでより多くの賃金を得て、家族や子供を養う助けになりますし、刑期を終えてからも、服飾の技術を活かして再就職しやすくなるといいます。
天然素材100%
流行に左右されない
「北欧デザイン」
デザインは、北欧らしいシンプルでオシャレなスタイル。ユニセックスで、流行に左右されずに長く着られるように気が配られています。しかも、一枚一枚の服それぞれに誰が作ったのかがちゃんと記載されているのです。
素材にもこだわっていて、天然素材100%。材料は地元で「神の繊維」と呼ばれている、ペルーのアルパカ毛が使われています。
次のコレクションはインド、
そして世界へ
次のコレクションはインドの刑務所になる予定で、実現のため、現在Kickstarterで支援を募集しています。
受刑している女性には、手を動かして物を作る喜びと、自分や家族のためのお金を。そして、ユーザーには美しいデザインの丁寧な手作りの服を。
このプロジェクトが広がることで、女性の犯罪を取り巻く社会の構造自体が変化していくのかもしれません。