新しいワーゲンバス、「I.D.BUZZ」ってなんだ?
唯一無二の存在感。熱心なファンを持つクルマは数多くあるが、そのなかでも最高の人気を誇る、フォルクスワーゲンタイプ2。通称「ワーゲンバス」とも呼ばれるこの名車をベースにしたコンセプトモデルが、今年のデトロイトモーターショーを沸かせた。
電気自動車であり、自動運転。あのアナログなタイプ2が…?
「移動するサードプレイス」を継承か
フォルクスワーゲンタイプ2は、貨物車・デリバリーバン・マイクロバス・トラックなどの多用途車として開発されたマルチパーパスな車だ。これをベースとして、キャンピングカーが制作されたり、60年代にはヒッピーの象徴ともなった。現代では、このタイプ2でバンライフを楽しむ人も多く、ユーザーが作り上げてきた「タイプ2像」は、コミュニティベースだと言える。いわば、移動するサードプレイスだ。
今回、デトロイトモーターショーでベールを脱いだ、タイプ2の復活モデル「I.D.BUZZコンセプト」は、コミュニティベースとしての性格を受け継いだ。
I.D.はアイデンティティ、アイデア、個性、インテリジェント、アイコニックなデザインの意味を持ち、BUZZはもちろんバスとかけた言葉。さらに、電動のドライブを手に入れたことで「サイレントバズ」となったのだ、と従来のうるさいイメージを逆手に取った印象。
楽しみ方は無限大に拡がる!
ウッドフロアに、運転席・助手席までもが180度回転するシートアレンジ。その変幻自在のインテリアは、新世代のバンライフを想像させる。モーターでドライブされることによる静かな乗り心地、129.9インチのホイールベース(前後輪の距離)、これらが産み出すものは「圧倒的に快適な空間」だ。
いわゆる「車で移動している感覚」とは、異なるものになるのではないだろうか?その楽しみ方は、創造力次第で無限大に拡がる。
ただし、従来のキャンピングカーとは違う。「I.D.BUZZ」は寝るためにあるのではない。ワーゲン社は言う。
In the future, Volkswagen will interconnect humans, cars and the environment with a Volkswagen user identity
(未来において、フォルクスワーゲンは、人と、車と、環境をユーザーの個性に接続する)
間に合うか、オートメイテッドドライブ
革新的なのは、そのコンセプトだけではない。完全なモータードライブ(電気自動車)の「I.D.BUZZ」は、自動運転を目指す。
世界初の全自動・マルチパーパス車としてコンセプトされた「I.D.BUZZ」は、ハンドルをインストゥルメンタルパネルに押し込むことで、自動運転に切り替わる。ここから先は、AIの「I.D.パイロット」が運転を担うわけだ(自動運転は2025年の実用化を目指しているとのこと)。
ハンドルにはスポークが無く、またハンドルのタッチセンサーでP、R、D、Nのドライブモードを変更する。I.D.Boxとよばれるタブレットが、スマホや車内のオーディオなどを統括するだけでなく、モードによって後部座席までスライドさせることも可能。
最後に、簡単にスペックを。バッテリーは111kWhの量を積み、30分で80%まで充電可能。トータルで369馬力を発揮し、満充電での総走行距離は600km(アメリカの道路を想定した場合435km)。
電気自動車の場合は特に、パワフルであることはスポーティさだけでなく、余裕や快適性につながる。未来感漂う、このコンセプトカー。その姿を見るのは、いつの日になるだろうか。リリースによれば、2020年には電気自動車の全く新たな潮流を生み出すだろう、とのことだが…。