75年式ワーゲンバスでアメリカ大陸を縦断。現代の技術が、おしゃれ旅を現実のものに
ワーゲンバス。正式には「フォルクスワーゲン タイプ2」と呼ばれる車で、ワーゲンが作ったバンor ワゴンのこと。キャンパー仕様やデリバリー仕様、トラック仕様があって、超かわいい。
とっくの昔に生産終了になっていて、正直現代の車から比べたら「車ではない何か。壊れるし、乗り心地は悪いし、あえていうならタイプ2」というような存在です。
ロードストーリーとして、ワーゲンバンで旅をするのは、もはや定番。2014年に発行されたフォスター・ハンティントンの写真集「HOME IS WHERE YOU PARK IT」が、その金字塔ともいうべき(ちょっと新しいバナゴンでの旅)グラフィックで「VAN LIFE」と形容されるカルチャーですが、このカップルはVAN LIFEを地で行き、アラスカからアメリカ大陸を縦断中です。
仕事をやめ、バスを作り、南へ向かう
テッサ(女性)は生粋の、アラスカ在住冒険家。ディロン(男性)は犬ぞりを使う500人ほどの村で育ち、いまはホワイトカラー。共に、冒険を熱望していたそう。
かねてよりワーゲンバスを愛してやまなかった2人ですが、見つかったのは500ドルの超おんぼろ車。走行距離こそ3マイルと少なかったものの、75年式であるということ以前に、あらゆる箇所が朽ち果てている状態でした。
しかも、初めは「1976年式」と聞いていたのに、実際は「1975年式」ということがあとから判明。1年違うだけで、シートが倒れなかったり、エンジンパワーが劣っていたりと問題が続出。そこで彼らが思い立ったのは…
日本製、スバルエンジンへの換装。じつはワーゲンマニアの間では、おなじ形をしている2社のエンジンは、ある程度互換性があって、定番だったりします。ワーゲンオタクからすれば「わかってるね!」といったところ。
このスバルエンジンは、同じワーゲンのバナゴンから取り出したんですが「だったら、クーラーもついてるバナゴンで旅に出るという選択」も、もちろんありました。ただ2人の答えはNO。「バスを愛しているからね」と。
愛に裏切られて…
でもオールドカーは、その愛を平気で裏切ります。テッサとディロンも、例外ではありませんでした。
道ばたでバスがとまってしまうことは、よくあること。アメリカに入ってすぐ、シアトルでは、気温が上がってオーバーヒート気味に。2人は「明らかに荷物の積み過ぎなんだ」と気づいていました。
エンジンをチェックするときには大量の荷物を毎度おろし、そのあとテトリスのように積み込まければいけません。
でも彼らのブログに「いらつき」や「焦り」はなく、トラブルを含めてVANLIFEを楽しんでいます。
レトロな見た目なのに、発電もできちゃうんです
日本のキャンパーでも定番になっていますが、このバスにはなんと発電機能も追加したそうです。おもしろいのは、ソーラーパネルを積むスペースがないので、可動式で2枚のパネルを重ねているところ。100Wのパネルを2枚積んで200W、通常のキャンパーライフを送るには十分な容量。
2人はスバルエンジンと同様、手を加えられるところには最新の技術をつかい、とてもコンフォートなバスに仕上げているんです。
VANLIFEが織りなす、おしゃれな旅路
バスで旅をしたい、そう思うことはできても、手がかかるこのタイプ2を大陸横断に使うことは、けっして簡単なことではありません。