「誇り高き民族」が、84ヶ国を歩いた写真家を虜にした。
世の中を知れば知るほど、心が震えるような出来事に遭遇するのではないでしょうか。84の国を歩いたフォトグラファーのAlexander Khimushinは、多くの感動と出会ってきました。
その中でも、彼を特に魅入らせるのは、世界中に散らばっている少数民族との出会い。人生に大きな影響を与えるほどの衝撃だったんです。
カラフルな文化と個性
Alexanderが3年前から始めたのは、人々の顔を撮影する『The World In Faces』というプロジェクト。今回は、ロシアにいくつか存在する民族の写真を紹介します。
シベリアの遠隔地には約40の異なる先住民がいるのですが、どの村も50,000人に満たない人口。しかも、その多くは数十人しか残っていないという。何百年と生き続いてきた誇り高き文化だけど、戦争や財政難などの理由で消失の危機を迎えています。もしかしたら、10年後に滅びてしまうかもしれないし、早ければ2年後かもしれません。
すでに失くなってしまった民族もいます。完全に消えてしまう前に、色とりどりの個性をもつ、伝統や魂を人々に伝えたいという気持ちから“世界中に隠れた顔”を撮り続けるのです。
誰ひとりとして、
同じ人間はいなかった。
プロジェクトを進めるうちに、世の中に同じ人間がいないことを改めて確信。当たり前のように思える言葉だけど、実際に多くの人々と出会って話したAlexanderが言うと重みが違います。
「一人ひとりと交流を深めて、お互いを理解してから撮影する」。プロセスを重視したカメラマンの彼だからこそ、自分のフレームに収まった人々の個性が心にも焼き付いているのです。