ボヘミアン風な「フラワークラウン」じつは、ウクライナの伝統文化にルーツあり
もはや、フェスファッションのトレンドのひとつとなったフラワークラウン(花冠)。ボヘミアンスタイルでなくたって、ちょい足しアレンジを楽しむ女性でいっぱい。
欧米発のフラワークラウン人気ですが、そのルーツを辿っていくとたどり着くのが東欧の国ウクライナだって知ってますか?しかも彼の地では、単なるアクセサリーではなく、もっと深い意味があるんです。
未婚の女性だけに許される
美しさと純真のシンボル
彼女たちが頭に飾るひときわ目を引くフラワークラウン。冠と呼ぶより“かぶりもの”の印象が強い、このvinok(ヴィノク)と呼ばれる花冠は、草花と暖色系のリボンで編み込んでいくのが伝統的なスタイルです。
ひとつの冠には最大12種類の花々を編み込むことができて、それぞれの草花にはきちんと意味があるんだそう。たとえばバラは愛の象徴、ユリは純真さと無垢を意味します。ヤグルマギクが表すのはつつましさ。ヒナギクは平和と優しさといった具合に。編んだ髪の毛を隠すようにリボンで結ぶのが一般的。もちろん、それはリボンにも。
こうした意味深い花冠をつけることができるのは、ウクライナに暮らす独身女性のみ。ヴィノクは彼女たちの純真さと処女性の象徴として、健康やしあわせを願い家族や親族、友人たちから贈られるものでした。つまり、未婚の女性が身につけることでピュアさを表現し、また病や悪霊からも守ってくれる、“お守り”的な意味合いもあったようですよ。
Vyshyvanka (ヴシワンカ)と呼ばれる伝統衣装とともに、ヴィノクを頭に飾る機会は時代とともに減る一方で、なかにはウクライナに生まれながら一度も体験しないままの女性も多い、とクリエイターのTreti Pivniさん。伝統のヴィノクを写真に収めるプロジェクトを続けてきた人物です。
彼女は20世紀初頭の古い写真を集め、イメージからヴィノクのデザインを起こして伝統の花冠をリメイクしていきました。同時に、今のスタイルにもすんなり受け入れられるよう、よりカジュアルでライトな花冠にもチャレンジ。結婚にはまだ早すぎる女の子たちにも、伝統の冠を身近に感じてもらおうという試みです。
フェスファッションのお手本にしたくなる
民族衣装に身をつづんだウクライナ女性のInstagramは必見。テキスタイルから色使い、装飾品の使い方まで。この夏のフェスファッションのお手本にしたくなるような、ボヘミアンな雰囲気がぎゅっと凝縮していますよ。