人生の最期を迎える時まで、一緒にいようと誓った人
三十路を過ぎてなお、一人がラクなんて思ってしまっているワタシ。この命が尽きる時に、誰といたいかなんて考えたことがないし、一生添い遂げたいと思える人に今まで出会っていないと思う。
でも、お互いの生活に相手の“におい”が染み付いたように暮らす、老夫婦の写真を見てからは違う。2人にとっては何気ない日々なのだけど、それぞれの人生にとってかけがえのない存在であることが伝わってきたから。
見えてくる「夫婦の歴史」
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それぞれの視線の先。庭の手入れをするおじいさん。今までの思い出を振り返るように家を眺めるふたりの背中。
たった6枚のシーン。写真にはうつってはいないけど、「夫婦の歴史」を感じた。この平穏な暮らしを築き上げるまでに、きっと色々なことを乗り越えてきたんだろう。そう、2人の人生に思いを巡らせたくなったのは私だけだろうか?
なんだか、会ったことのない写真の2人を見ているうちに、“理想の人生”が見えたような気持ちになってしまったんだ。
机の上を見ただけで、
感じる夫婦の暮らし
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これらの作品は、すべてアーティストAnnabel Oosteweeghelの「Everlasting」というシリーズ。上の写真もそうで、テーブルの上にはただ女性誌と灰皿とメガネが置いてあるだけなのだけど、夫婦の生活感が漂っている。
制作のきっかけは、8年前にアムステルダムのある小さな村を訪れた時に、1960年代に建てられた無人のバンガローの中を覗いたことから。部屋には、ベッドやテーブルが置きっ放し。時代を感じる使い古しの家具を見て、そこにはいない人物の暮らしを感じたと彼は言う。その時、頭の中にはっきりと浮かんだのは、何十年もその家に住んでいただろう一度も会ったことのない老夫婦の姿だったのだ。
写真の老夫婦は架空の人物。でも、Annabelが見た部屋の中で出会った顔も名前も知らない夫婦が蘇ったようで、愛しさを感じてしまう。
一生添い遂げる。これは、多くの人々がしてきたこと。けれど、いくら世界中にたくさんの夫と妻がいたとしても、長い人生で同じ道を歩んできた2人にしかわからない歴史がそれぞれの夫婦にある。私は、そんな2人だけの「キズナ」にたまらなく憧れてしまうんだ。
人生最期の時まで一緒にいたいと思えるような「本物の愛」を築ける相手を見つけたくなった。
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