まるでテーマパーク。「子どものため」の検査室。
私が初めてCTスキャンを受けたのは小学生の頃だったけれど、まるで宇宙人に体を精査されているようで、奇妙な、そしてある種不気味な感じがしたのを覚えている。
「放射線」のマークが貼られた仰々しい分厚い鉄の扉の前で母と別れ、無機質な真っ白の部屋で台の上に寝かせられた。そして誰もいなくなってからは、スピーカーから流れる指示に従い、機械音のする白い筒の中に吸い込まれてじっとしているのだ。なんとなく、自分が異質のものみたいな感じがして怖かった。
でも世の中では毎日、もっと幼い子どもたちが、CTスキャンや、被ばくはしないけれどそれよりもはるかに時間が長く、騒音もするMRI検査を受けている。彼らの多くにとって検査の時間は、やはり怖くて辛いもの。それを少しでも軽減できないかと考えたのが「GE Healthcare」だった。
冒険にいく気分なら
怖くない
あの色のない空間はどこへやら。まるでテーマパークのアトラクションのようなこの装飾。こうして部屋の雰囲気をガラリと変えることで、子ども達にスキャンされることを「試練」ではなく「冒険」のように感じてもらい、検査を少しでも楽しんでもらうことが目的なのだ。
器具や部屋の飾り付けだけでなく、気分を落ち着かせるアロマテラピーなども試し、またある部屋では子ども達が乗る検査台をカヌーに見立て、「カヌーを揺らさないように、じっとしていなきゃいけないよ」などといった具合に子ども達を落ち着かせる。
他にも台を星空の下で眠る寝袋に見立てた部屋も。
帽子まで被って、気分は船長。
そのまま冒険の旅へ!
いってしまえばまさに子ども騙しで、簡単な工夫。でも、するとしないとじゃ大違い。
こうすることによって子どもの苦痛を和らげるだけではなく、彼らが暴れてスキャンがやり直しになり、より検査時間が長引くという事態も防げるとのこと。早く終われば次の患者もスキャンすることができるし、病院にとっても子どもにとってもいいことずくめなのだそう。
実際、導入した病院では、検査を受けた親子からも「怖いと思う気持ちが軽減された」という声が上がっているそうだ。
日本でも歯医者さんとかでぬいぐるみを見せるなどして子どもをなだめることがあるけど、そんなのじゃ効かない子でも、ここまで作り込まれたセットなら恐怖に打ち勝つことができるかもしれない。
たとえ多くの時間を病院で過ごすことになろうとも、恐怖や苦痛より、少しでも多くの「楽しみ」を感じてもらいたい。そんな思いのこの取り組みは、今多くの注目を集めている。