世界初。お金を「持っていない人」のための自動販売機。
晴れていたかと思いきや、いきなり大雨が降ってくる。他の例も含めて、1日の中で天候が変わるのが日常茶飯事なイギリス。
直に体験したことがある人なら分かるだろうけど、気温差があると体温調節はなかなか難しいもの。そのため、体調も崩しやすくなってしまいます。
こんな天候も一因となっているのでしょう。ある調査結果によれば、約8割のホームレスの人たちは、健康に問題を抱えているようです。そこで、イギリスの慈善団体「Action Hunger」は世界初となるプロジェクトを始めました。
1日3回まで
タダで食べ物をあげる
自分の家がなく、路上で暮らす人たちには、ネガティブなイメージがたくさんあるかもしれません。「仕事を見つけることができないのは、自分の責任だ」といった具合に。
だけど、良くない健康状態も影響しながら、過去の児童虐待やドメスティックバイオレンスがトラウマとなっている場合や、犯罪歴があることを理由にセカンドチャンスを得ることができないというケースも。加えて、払えないほどに膨れ上がっている住宅ローンが関係していることもあります。だからこそ、貧困から這い上がることがとても難しい。
ホームレスの人たちが経験している悪循環に歯止めをかけるべくスタートしたのが、無料で生活用品や飲食物を提供する自動販売機を設置するというプロジェクト。
仕組みは、ホームレスの人たちに専用のカードを配布して、彼らがスキャンをすれば、水やフルーツ、歯ブラシ、抗菌ローションなどを手にすることができるというもの。また、自動販売機には、寒さをしのぐための衣類も置かれるそう。
でも、勘が鋭い人なら、それでは一時的な解決にしかならないのでは?と考えるでしょう。そのため、「1日3回までしか使えない」という制限があるようです。さらに、サービスを使い続けるには、週に1回、職業案内所に行くことも条件になっているとのこと。要するに、あくまでも<仕事を探すことへのサポート>というスタンス。
自動販売機に置かれるモノは、そのままでは破棄されるだけの食品を、地元のスーパーマーケットから寄付として受け取っているそうです。もちろん、ボランティアからの協力も。
一時的な解決をするためのプロジェクトではなく、ホームレスの人たちが仕事を見つけられるまでを支える取り組み。さらには、食品廃棄物の量も減らすことができるプランニング。「Action Hunger」が、ネガティブなサイクルを断ち切れるかもしれません。
現在、これが置かれているのはノッティンガムのみ。ロンドンやマンチェスターなどの国内のみならず、ニューヨークやパリ、東京などと、世界展開も目指しているそうです。