韓国の子どもが体感する「北朝鮮」
オーケストラの中に子どもがいる。
いまどき秀でた才能を持つ少年少女は珍しくない。それでも彼らが目についたのは、コンサートを行った場所が関係している。
「DMZ」だ。
沈黙の境界線で
夢を奏でるオーケストラ
休戦中の韓国と北朝鮮の境界線あたりに位置する、「DMZ(DeMilitarized Zone)」という非武装地帯。
南北では、個人レベルでの電話や旅行、その他のコミュニケーションが禁止されている。軍事施設のないこの地域でも例外はない。
「会話もできないのに、どうやって朝鮮半島を一つにするのか?」と疑問を投げかけるのは、Hyung Joon Wonさん。だから、「グローバルな言語である音楽」で平和的な南北統一を目指すという。
Wonさんの夢を叶えるために協力したのが、10歳から82歳までの37人。2017年8月、オーケストラは「DMZ」でコンサートを行った。
ちょっと視点を変えたい。もしも自分が親の立場だったら、10歳の子どもを快く送れただろうか。会場となったのは、拉致問題やミサイル問題などのニュースの中心になることが多い北朝鮮の近くだ。
対して、子どもたちにとっては大きな財産となる。フレキシブルな大人とともに行動ができる。教科書やニュースを通さず、思いのままに非武装地帯を体感できる。自分の目で確かめられる。たとえポジティブな経験にならなかったとしても。
Licensed material used with permission by Lea Suter