ビュッフェ一本勝負でも、ビシビシ伝わるスリランカ@信濃町

ビュッフェ一本勝負でも、ビシビシ伝わるスリランカ@信濃町

信濃町のスリランカ料理店「バンダラ ランカ」がランチビュッフェのみで勝負するのにはワケがある。

キッチンがカフェ仕様のため、個別メニューに対応しうる設備に乏しい。そのため料理はその日のランチ分のみ毎朝シェフが用意する。

正直、どちらもネガティブな要素でしかない。ところが、それを補って余りある中毒性の高いスリランカカレーがとにかく美味い。南の島へトリップしたような空間もいい。ビュッフェの概念が変わる。

単品料理では伝えきれない
スリランカ食文化の多様性

©2019 HIROMU INOUE

「ランチとはいえ、アラカルトメニューだとお客様がどれか1つに選ばないといけません。あれこれ試せるビュッフェのほうがスリランカ料理のバラエティを楽しんでいただけますからね」。オーナーのバンダラさんは、“バラエティ”という言葉に力を込める。

カレーと副菜を合わせると常時15種類ほどが並ぶ。けれど、ビュッフェにありがちな冷え固まったり、表面に膜が張ってしまうような料理はない。カレーからはきちんと湯気が立ち、複雑なスパイスの香りを放射しているし、おかずの量が減れば、首尾よくキッチンからアツアツの料理が追加される。

なるほど。やむなくビュッフェスタイル、というわけでもなさそうだ。

ちなみに、シェフは同郷キャンディの一流ホテルで長く腕をふるってきた本格派。バターや油を多用するインドカレーとは異なり、ココナッツオイルでつくるスリランカのカレーはヘルシーで胃もたれがしない。

それでも刺激的な辛さもあれば、とことんマイルドでやさしい料理もある。見た目も味わいも、濃淡はじつに多様だ。

©2019 HIROMU INOUE

食後にデザート2品とセイロンティーがつく「スリランカランチビュッフェ」1,800円(税込)。土日祝は2,000円(税込)

©2019 HIROMU INOUE

ターメリックで色付けされたタイ米と、スリランカの赤米を皿に盛る。どちらもパッサパサ。だが、これも計算。カレーソースが米に吸収されたとたん、ふくよかに変化する。日本米ではこうはいかない。

肉を使ったカレーは1つにとどめ、野菜がメニューの中心。珍しいジャックフルーツやバナナの花をスパイスで炒めたものもある。肉のカレーを多くの野菜料理と混ぜながらいただくスタイルも、スリランカならではの食習慣だ。

 

肝心の味は2品だけご紹介。あとは自身の舌で!

「ダルカレー」は傑作。
よくあるシャパシャパなものでなく、こちらは水分の少ないぽってりタイプ。ココナッツミルクが甘さを生みだし、さざ波のようにコクが押し寄せてくる。

「大根のテルダーラ」も忘れちゃいけない。
鰹節に似た風味はモルディブフィッシュによるもの。和食と同じように出汁をとるスリランカ。最深部にまで染み込んだ出汁の旨みにDNAが呼応する。

胃袋にしみるスパイス
心にしみるホスピタリティ

©2019 HIROMU INOUE

ピーク時ともなればビュッフェサーバーの回転は加速度を増す。けれど依然ホールはバンダラさんによるワンオペ。空になったお皿をタイミングよく下げたかと思えば、手づくりデザートと紅茶が代わりにやってくる。これが絶妙。満ち足りたお客の仕草や表情をこの人は見逃さない。

糊の効いたシャツにスーツベストという身ごしらえも、流暢な日本語も、ペニンシュラやザ・リッツ・カールトンをはじめラグジュアリーホテルのレストランを渡り歩いて培ったホスピタリティなんだろう。

数だけ豊富な大皿料理のセルフサービスとはわけが違う。バンダラ ランカはスパイスカレーファンならずとも、ビュッフェだけで人を虜にする。

©2019 HIROMU INOUE

「バンダラ ランカ」

TEL:03-6883-9607
営業時間:11:00〜14:00
定休日:月曜日
※ディナーは事前予約制(5名以上から)
HP:https://www.bandaralanka.jp/

Top image: © 2019 HIROMU INOUE

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