「BMXと旅をする」。米田大輔のシームレスなライフ&スタイル

「カルチャーとして愛されることも、スポーツとして成熟していくことも、両方大事なんですよね」

東京オリンピック2020の正式種目になったBMXへの注目度は、ここ数年で飛躍的に伸びている。

プロBMXライダーとして、湘南の鵠沼海浜公園スケートパークを拠点に、現在はイベントMCや業界を支える側としても活躍する米田 “ダニエル” 大輔さんはこう語る。「どっちも失くしてはいけない」と。

ストリートとスポーツをシームレスにつなぐ「BMXのある暮らし」に密着した。

BMXを知ってもらうために
パーティも展示会もひたすら顔を出した

きっかけは、テレビで見たバイクトライアルだった。

「14歳のときです。バイクトライアルがカッコよくて、このパークで練習を始めたんです。でもBMXとはスタイルも違って、明らかに “浮いてる子” でした(笑)。周りにBMXをやってる人も多かったので、そこからはどっぷりです」

20歳の頃には国内のプロクラスに昇格し、その目線が海外へと広がっていくことも自然な流れだった。

「貯めたお金は、ほとんど海外遠征に使いましたね。アメリカやオーストラリアはもちろん、世界選手権でヨーロッパを周っていた時期もあります。

海外のパークに行くと、DVDやYoutubeで見ていたトップライダーが、普通に練習してたりするんですよね。しかも、そんな有名な人たちが『お前、日本からよく来たな』ってフレンドリーに話しかけてくれる。そういう環境が本当に最高だと思ったし、そのときにできた世界中のネットワークは今でも宝物です」

ひとくちに「プロBMXライダー」と言っても、ダニエルさんの考え方はとても本質的だ。

「僕は、『日本じゃBMXのプロは無理だ』って言われて育ったんですよ。だから、僕がそれを変えよう、って。スポンサー収入がなくても、メディアやCMの仕事を受けて、そのお金を海外へ行くための軍資金にしていました。

今思えば、そのためにめちゃくちゃ貪欲に顔を売りましたよ(笑)。自分でYoutubeも作ったし、『BMX プロライダー』で検索したら自分の名前がヒットするようにいろいろ工夫したり。パーティでも展示会でもどんどん顔を出して『こういうことやってます!』ってアピールしまくりました。何かひとつでも仕事のきっかけにできないかって」

かつては “遊びの延長でしょ?” と揶揄されたBMXがオリンピックに、しかも東京五輪から正式種目になるのには、こういったライダーたちの影の努力は無視できない。

「まずは、いま世界の最先端で戦っている若い子たちが、現役の数年でもBMXだけで食べていけるようにすること。そして、現役のあともBMXに携わる仕事で生活をしていけるような環境にすること。僕らがその火を絶やしちゃいけない」

“シーンを作る” というのは、こういうことなのかもしれない。

カリフォルニアのスタイルは
すべてがリアルだった

BMXの本場は、さまざまなストリートカルチャーやファッションを生んだ「カリフォルニア」だ。

「もうなんていうか、すべてがリアルなんですよ。すべてが本物。発祥の場所だから当たり前なんですけど。プロライダーもたくさんいるし、みんなタトゥーだらけなのにめちゃくちゃ優しくて(笑)。人を見た目で判断しないっていうか、一人ひとりを尊重して生きてるような感じがしたんです! 僕、そういう場でもガンガン自分から話しかけにいくんですけど、そういう海外でのコミュニケーションが今の自分のスタイルにも繋がっていると思います」

発信することの大切さ、自分を認めてもらうことの大切さ。そういった強いメンタルは、海外遠征のなかで自然に培われていった。

「ハンティントンビーチのあたりが好きでよく行ってたんですけど、スケートやサーフブランドのファッションは人気で、この場所にはエクストリームスポーツとライフスタイルやファッションの関係がちゃんと深く根付いてるんだな、って感じました。僕は、湘南から日本全国にBMXを根付かせていきたいですね!」

ファッションの面で影響を受けているのは、イギリスのライダーたちだという。

「バーバースタイルの刈り上げで、洋服もシンプルなのにみんなオシャレなんです。無地のTシャツにシンプルなパンツを合わせているだけなんですけど、とにかくカッコいい。

僕の場合、パンツはスリムなやつじゃないとダメですね。太めだと技をするときにチェーンに絡まってしまうんです。Tシャツは少し大きめにしてます。本当はタイトなやつのほうが動きやすいんですけど、オシャレは我慢なので(笑)」

仲間がいないと、BMXって
全然楽しくないんですよ!

「怖い技に新しく挑戦するときとか、仲間がいないとプッシュできないんです」

BMX自体は個人競技だけど、“ひとりじゃ何にも面白くない” ということを強調する。

「壁を超えられる瞬間ってあるんですよね。そういうときに応援してもらったり、『お前やばいな!』って一緒に喜んでもらったり。こけたときも励ましてくれるし、笑ってくれる。そこから尊敬とか友情が生まれるんです」

鵠沼のスケートパークを拠点にするメリットは、ただ大技のできる環境が整っている、というだけではない。

「ここにはBMXライダーだけじゃなくてスケーターもいるし、サーファーもいる。みんなフレンドリーでチルな感じなんですよね。

ジュニアの子たちも、ここで出会った仲間が一生の仲間になると嬉しいし、ここで味わった興奮とか絆を大切にしてほしい。僕にとってもこのパークは、親友や仕事仲間ができた一番大切な場所です。夢が広がったんですよ、ここで。

自分のミッションは、BMXを一時的なブームで終わらせるんじゃなくて、みんなが食える仕組みを作っていくこと。その責任があるんじゃないかなって」

「今、BMXがやりたいっていう子供もすごく増えてきて、競技としての認知も上がってきました。こういうふうにスポーツ競技として盛り上がっていく側面と、パンツ×スニーカースタイルでやるカルチャーや遊びの側面、BMXにはどっちも必要なものなんですよね。

カリフォルニアで感じたのは、そんな僕の大好きなBMXがとても身近なカルチャーとしてみんなに愛されていたこと。そこに紐づくファッションやスタイルも同じようにリスペクトされていたし、ライダーたちの生き様を表してたんですよね。そういうマインドは常に大事にしていますよ」

米田大輔(Daisuke Daniel Yoneta)

神奈川県出身、1989年9月21日生まれ。ニックネームは「ダニエル」。藤沢市にある鵠沼海浜公園スケートパークをホームにしている、日本のフリースタイルプロBMXライダー。身長165cm、血液型A型。アスリートとしてだけでなく、指導者やイベントオーガナイザー、MCなど、幅広く活躍する。

Today’s style

ジャケット:
ウォーターリペレント コーチジャケット(Banana Republic)

Tシャツ:
スーピマコットン ボクシーTシャツ(Banana Republic)

パンツ:
ラピッドムーブメントチノ(Banana Republic)

「最近気に入っているのは、サンフランシスコ生まれのブランド『バナナ・リパブリック』のラピッド・ムーブメント・チノ。ストレッチ素材だから技も決めやすいし、タフで汚れにくいからBMXでも気兼ねなく乗れますね。イベントで乗ったあとのアフターパーティとか、服装に気をつかうような場所にも着替えずにこのまま行けるので重宝してます」

BMX:FLY BIKES

「とにかく軽くなるように組みます。色はシンプルにオールブラックなんですけど、ステムとかハブに差し色を入れるのがポイント。地味なバイクっぽく見えてじつは…みたいな」

アイウエア:OAKLEY

「若い頃、オークリー原宿でスタッフとして働いていたこともあって。そのくらいずっと愛用しています」

ONもOFFもシームレスに。

→シームレスなチノパンをCHECK

「バナナ・リパブリック」

1978年、「旅とサファリ」をテーマに世界中を旅する夫妻がはじめたバナナ・リパブリック。「人生は旅」と考え、あらゆる瞬間を楽しみ、人生を豊かに彩ってきた二人は、彼らのようにアクティブに人生を楽しむ人々に向けて、その生き方を支えるワードローブを提案し続けてきた。新しいことに挑戦し続ける創業者の探求心は受け継がれ、今もブランドの根底に流れている。現在は世界各地で約700店舗を展開するグローバルブランドとなり、上質な素材使いを特徴とした上品で汎用性のあるワードローブを提供。考え抜かれたデザインで、本格的なものづくりにこだわったコレクションは、何度でも新しい感覚で着られ、どんなスタイルにも合うラインナップが揃う。