BMXの「ブレーキレバー」が短い理由
スポーツライドのためだけでなく、エクストリーム系のスタイルやファッションを楽しむ人たちの小道具としても人気の自転車・BMX。
小さなタイヤと無骨なフォルムが特徴的なBMXですが、その車体をじっくりと観察してみると、街でよく見かけるママチャリなどとは異なる点がたくさんあることに気づきます。
そのひとつが、ブレーキレバーの長さです。
多くのママチャリのブレーキレバーが人差し指、中指、薬指、小指の4本の指がかかる長さであるのに対して、BMXは人差し指と中指の2本がかかる程度の長さ(※1)しかありません。
なぜ、BMXには短いブレーキレバーが採用されているのでしょうか? そこには、こんな理由があったんです──。
BMXという競技と車両は、1970年代のアメリカで誕生しました。オートバイのモトクロスレースが人気を博し、子どもたちが自転車でそれを真似たことが起源なのですが、そもそもは4本の指で握り締める、現在のママチャリと同様のブレーキレバーが使われていました。
しかし、荒れたダート(未舗装)コースをシートから腰を浮かせた“立ち漕ぎ”で全力で漕ぎ続けるには、グリップを握る力をかたときも緩めることはできません。
そこで、薬指と小指でグリップをしっかりと握りつつ、人差し指と中指の2本の指の力で十分な制動性能を得られる短いブレーキレバー、通称「ツーフィンガーレバー」が開発・装備されたのでした。
現在、ダートコースでのゴールまでのタイムを競う「レース」のほか、技の華麗さや難易度の高さを争う「パーク」や「ストリート」など、様々な競技種目をもつBMXでは、それぞれの競技の特性に合ったブレーキスシテムを採用していますが、好みのパーツを使ってオリジナルの一台を組み上げるのもBMXの楽しみ方のひとつ。
乗る喜びだけでなく、作る喜びも味わえるBMXの世界を、どうぞお楽しみください。
※1/指3本分の長さの「スリーフィンガーレバー」なども存在する。
※上記、諸説あり。