BMXのブレーキがママチャリと反対の「右が後輪、左が前輪」の理由
それほど意識せずに乗っている人も多いと思いますが、買い物や通勤・通学などに便利なママチャリや電動自転車の多くは、右手のブレーキレバーが前輪、左手のブレーキレバーが後輪と連動しています。
しかし、スポーツ走行に使われる自転車には、それが反対(右が後輪、左が前輪と連動)に設定されているものが少なくありません。
ダート(未舗装)コースを走るレース車両として誕生・発展したBMXもママチャリとは反対に設定されているものが多いのですが、そこには、アメリカの自転車文化の歴史が深く関わっているんです──。
そもそも、1900年代中盤までのアメリカ製の自転車は、後輪にしかブレーキがついていませんでした。
現在も一部のモデルには搭載されていますが、当時の自転車は「コースターブレーキ」というシステムを採用していました。ペダルを逆回転させることで制動力が発生する「コースターブレーキ」は、構造がシンプルでブレーキレバーやブレーキケーブルを必要とせず、ハンドルグリップを握ったままで減速&停止ができることから強い支持を集めていました。
しかし、自転車を使った“競技”が盛んにおこなわれるようになると、ブレーキには操作性の繊細さや高い制動性が求められるようになります。
そこで新たに開発されたのが、現在のママチャリなどに搭載されている、ブレーキレバーを握ることによってパッドがタイヤを挟み込み、高い制動力を得られるブレーキシステムだったのです。
指先の力加減でブレーキングの強弱を調整できる新システムは、競技用の自転車だけでなく、多くの街乗り用の車両にも採用されました。そして、利き手のほうが握力があり、繊細に動かせるという理由から、当時、後輪にしかついていなかったブレーキは、多くの人の利き手側である右に配置されることになったのです。
その後、さらなる安全性やスポーツ性能を求め、前輪にもブレーキを搭載することになるのですが......みなさん、もうお分かりですね。
BMXのブレーキがママチャリと異なり「右が後輪、左が前輪」の理由──。
それは「BMXはもともと後輪にしかブレーキがなく、新しいブレーキシステムが開発されたときに右手のブレーキレバーと後輪のブレーキを連動させたため、前輪のブレーキは左側につけるしかなかったから」なのです(笑)
......どうにも絞まらない理由ではありますが、小さいことを気にしないアメリカの国民性を考えると、妙に納得できてしまうエピソードだと思いませんか?
※上記、諸説あり。