古いBMXに壊れやすい「プラスチック製のサドル」が搭載されている理由
1970年代のアメリカでダート(未舗装路)を走るために誕生した BMX(バイシクルモトクロス)。
タフな金属製のフレームに見るからに頑丈そうな太いタイヤをはいたBMXですが、オールドBMXと呼ばれる古い車両の多くには、決して丈夫とはいえないプラスチック製のサドルが採用されています。
ママチャリやロードレース用の自転車にはない、車両の剛性を高めるためのパーツ(ハンドルのくぼみに渡された「クロスバー」など)まで装備しているにも関わらず、サドルに使っているのは、柔らかく、壊れやすいプラスチック素材......。そこには、BMXという競技ならではの、こんな深い(?)理由があったんです──。
まず、BMXが競技用の車両であったことを考えると、パーツの軽量化は理由のひとつです。そもそもがコースタイムを競うスピードレースだったBMXは、車体をいかに軽量化できるかは、たしかに重要でした。
しかし、現在主流となっている、ウレタンにビニールシートを張ったものとプラスチック製のサドルの重量差など、ごくわずかでしかありません。
では、なぜオールドBMXにはプラスチック製のサドルが搭載されているのでしょうか?
破損しやすく、滑りやすいプラスチック製のサドルを採用している本当の理由、それは──「サドルに座らないから」(笑)
BMXの選手は競技中にサドルに腰掛けることは、まずありません。
連続するアップダウンとコーナーを全速力で走る体勢は、つねに“立ち漕ぎ”。悠長にサドルに腰掛けてペダルを漕ぐことなどありません。
そんな使われることのないパーツにコストをかける必要はなく、BMXのサドルは安価なプレスチック素材のものが採用されるようになったのでした。
深いようで、それほど深くない、古いBMXにプラスチック製サドルが使われている理由ですが、現在、BMXをファッションアイテムとして愛用している人たちにとってはプラスチックのレトロでチープな雰囲気が「かわいい」と大人気なんです。
※上記、諸説あり。