アメリカに「ママチャリ」がない理由
日本ではスーパーへの買い物や通勤・通学、子どもの送り迎えなど、近距離の移動になくてはならない通称・ママチャリ。
でも、アメリカを舞台にしている映画やドラマに、日本のようなママチャリが登場することは、まずありません。
前カゴと後部の荷台を活用することで大量の荷物を運ぶことができ、少々の悪路でも気にせず走れて、モデルによっては数段階のギアまで装備されている非常に便利な日常の足が、アメリカではなぜ普及しないのでしょうか?
そこにはアメリカならではの、こんな理由がありました──。
まず、もっとも大きな理由として挙げられるのは、アメリカは目的地までの距離が遠いということ。田舎のほうであれば、いちばん近いスーパーまで自動車で1時間かかるなんてこともザラにあります。さすがにママチャリで移動できる距離ではありません。
次に、治安の問題。アメリカに限ったことではありませんが、日本に比べて引ったくりやスリ、強盗などが多いエリアで、買い物袋や貴重品を入れたバッグをロックもせずに前カゴに入れるなど自殺行為といえるのです。
とはいえ、一時、アメリカでもママチャリのような自転車がブームになった時代がありました。
1970年代の初頭からわずか数年間、総合大学(ユニバーシティ)に通う中産階級以上の家庭で育った大学生たち......今でいうリア充の若者たちの間で、前カゴとギアがついたママチャリ風の自転車に乗ることがステイタスとされていたんです。
しかし、リア充の熱しやすく冷めやすい気質は昔も今も変わらないようで、そのブームはすぐに廃れてしまったのでした。
なんにせよ、日本にここまでママチャリが普及しているのは、生活圏がコンパクトに設計された優れたランドスケープと事件や事故に巻き込まれづらい治安のよさが理由といえるのではないでしょうか。
※上記、諸説あり。