神話の風に吹かれて遊べ。鹿児島・霧島温泉、神そぞろ

パワフルで、とっても気持ちが良い霧島温泉のお湯巡りにも満足して、旅館が立ち並ぶエリアから車で20分ほどの、霧島神宮の周辺まで足を延ばしてみました。

 

霧島神宮は、ニニギノミコトという日本を作ったといわれている神様が祀られている場所。パワースポットとしても有名ですが、例えばここに「霧島九面」という天狗の面があるのは、たぶん意外と知られてない話。

 

他にも美味しいもの、楽しい場所、ちょっと深掘りしたら、たくさん出てきましたよ。霧島神宮周辺のお散歩コースを、ずばりそれを「神そぞろ」と命名して紹介します。このコースを回るのはバスやタクシーでも可能ですが、全部行くには、やっぱりレンタカーがあった方が便利です。神話の時代に思いを馳せて、どうぞ、いってらっしゃい。

鬼って、女の人のことかしら?

「霧島天狗館」

©2019 ETSU MORIYAMA

下着売り場と、スイーツブッフェの会場以外で、女の人は平気だけど男の人は入るのをためらうという場所、ど〜こだ?

 

ドゥルドゥルドゥルドゥルドゥん!

 

正解は、鹿児島県霧島神宮のそばにある「霧島天狗館」でした。ご夫婦で来ている観光客の方も、奥さんは入ってくるけど、ご主人は入ってこない、なんてこともよくあるとのことなんです。どしたのご主人。WHY?

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霧島天狗館には天狗面をはじめ、能面やひょっとこ面、アジアを中心とした海外のお面などがおよそ2000個も飾られているんですが、もうひとつ、ここでたくさん見ることができるのが、鬼の面。

 

最近作られたものは性別不明のものも多いけれど、古くからある鬼の面って、女性が芯から怒った時の顔を表現しているものばかりなんだそうです。昔の人も、きっと女性は怖かったんでしょうねぇ、なんて館長の吉村さんは言うけれど、さすがにこんなに怖くないですよねえぇ、女性の皆さま?

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館内に入れなかった男性陣は、入り口ですでにこの鬼面が発する殺気を感じとっていたってことなのかもしれないけれど、怖がらないで中に入ってみると、面白いお面をたくさん見ることができます。

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この女の子の天狗面は、吉村館長が特別に職人さんに作ってもらったもの。おそらく、日本で見られるのはここだけだろうとのこと。かわいらしくて、ちょっと奇妙です。

 

そもそも天狗を男性と考えるのは、かの有名な猿田彦さんに由来するから。猿田彦さんは、正式にはサルタヒコノミコトといって、アマテラスオオミカミという神様の、孫の神様たちが地上に降りてくる(天孫降臨)時に、道案内を買って出た人。その猿田彦さんの風貌が、一説によると赤ら顔で鼻がとっても高かったようで、これが今の天狗のモデルになっていると言われています。

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この、天孫降臨の際に降りて来た神様(ニニギノミコト)にお供した神様たちを表しているという九つのお面は「霧島九面(きりしまくめん)」と言われ、霧島天狗館の先にある霧島神宮に祀られています。

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霧島神宮は、もともとは高千穂峰の山の上にあったのですが、度重なる噴火の影響で、今の場所に再建されたのだそう。九面は、この再建を祝って今から300年ほど前に奉納されたもの。ここにあるのはそれを真似て作ったものですが、本物の存在を知らない人が多いので、まず入り口にあるこの場所で紹介してあげたいんだとか。

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ちなみに霧島天狗館に飾られているたくさんのお面は、全て吉村館長が個人的に集めたもの。およそ2000個、ここまで集めるのには、40年ほど。

 

天狗面ひとつとっても、各神社の神楽などの芸能に合わせて作られているので、地域の特色が出ていたり、作る人が違えばまた個性も出て、そういったひとつひとつの違いが魅力なんだそうです。この、鼻がテロンと下を向いている天狗も味わい深し。岡山で作られているそうですよ。

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こんな、メタリックで宇宙的な能面や……

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こんな、温泉に浸かった瞬間のような、プハァ〜、な面も。

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この素敵なヒゲのおじいさんは、中国の孟宗竹の根っこを活かした彫り物。

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怖かったり、じわじわ笑いがこみ上げたり、なんとなく目が離せなくなったり。いろんなお面に囲まれながら感じることは、人それぞれ。私は、このお面を見て元気になりました。また、落ち込んだ時にこの写真を見ようと思います。

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今はお面も機械でも彫れるようになったけれど、やっぱり人の手で彫られたものの方が、魂が入っているような気がしていいなあと思いますね、そんなふうに、長い時間をかけて集めてきたお面たちを眺めながら話す吉村館長。お面愛溢れる館長さんと奥さまノリ子さん、それにトイプードルの看板犬ニコラが出迎えてくれるちょっと個性的な博物館は、霧島神宮の大鳥居近くにあります。

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霧島天狗館
住所:鹿児島県霧島市霧島田口2459-60
TEL:0995-64-8880
営業時間:9:00〜17:00(日により多少前後あり)
料金:大人250円、子ども100円
定休日:火、年末年始
霧島観光協会HP:http://kirishimakankou.com/guide/2013/06/post-49.html

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小鳥と一緒におやつを食べよう

「オリーブの木」

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オリーブの木という古民家カフェの入り口を入ると、突き当たりに外に向いたカウンター席があります。そこに座って、素朴で美味しいおやつを食べていると、最近このお店の常連になったという、ある方にお会いすることができました。

 

彼女は、「私はここで……」と言って控えめに、カウンター席から見えるウッドデッキの片隅で美味しそうにフルーツをパクパク。そのうち、霧島の自然によく似合う、透き通るような歌声で歌い出しました。

 

 

チュ〜チュルピュウ、チュピチュピ……

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ん?

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そう、常連さんの正体はこのお方。ヒヨドリさん。お店のスタッフさんが木に刺して用意しておいてくれていたフルーツを食べに、最近頻繁に足(羽根?)を運んでいるそうです。彼女も、このお店の居心地の良さにハマった一人かな?

 

オリーブの木は、霧島温泉街と霧島神宮を繋ぐ道路から、控えめな案内板のある横道を下ったところにそっとあり。この、「ちょっと隠れている感じ」が見つけた人のハートをグッと掴みます。先ほど話に出たカウンター席とウッドデッキ席のほか、テーブル席やお座敷の席もあり、座る席によって気分もだいぶ違うのも面白いです。

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お店のみんなで試行錯誤しながら作っているというメニューはどれも素朴で、優しくて、かわいい。かわいいってのは、やっぱり大事ですヨネ。ケーキ自体が素朴なので、盛り付けもあんまりやりすぎにないようにしています、と言って奥さまの浦部めぐみさんが作ってくれたアップルシナモンケーキは、同時に加減することの大切さも教えてくれるものでした。派手で、話題で、刺激的なものにずっと囲まれた生活をしている人が食べたら、はっとするかも。

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しっとり濃厚なパンプキンプリンと、手作りのオレンジシロップ煮が何層にもなっているジューシーなオレンジケーキもお気に入りリスト入り。毎日食べたら、今の3倍優しい人になれる気がする味。

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どれも、本当はお店の雰囲気と一緒に食べるのが最高なのですが、いくつかのメニューはテイクアウトもできるので、おなかと相談の上、買い込んでドライブのお供に。マフィンやブラウニー、スコーンのような携帯しやすいおやつもいろいろあり、迷う迷う。チョコシリアルのクッキーは、ぽりぽりいくらでも食べられてやばいやつです。

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お店には三世代で来てくださるお客さんもいて、ごはんメニューも含めて、お孫さんからおじいちゃんおばあちゃん、どの世代でも食べられるようなものを出したいなあというのがお店の思い。場所柄、長く車を運転してお店に辿りついたりする方もいる、だからみんながあんまり緊張しないような空間がいいなと思いながら、ご主人の邦宏さんと、めぐみさんの妹・ことえさんの三人で作るその空気は、緊張しながら入って来たお客さんも、最後は笑顔にしてしまいます。常連のヒヨドリさんだって、飛び立っていく横顔が心なしか笑顔だった、ような?

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オリーブの木
住所:鹿児島県霧島市霧島田口2390
TEL:080-2723-9618
営業時間:カフェ11:00~15:30(L.O.)、ランチ11:00〜14:00(L.O.)
定休日:第一水(不定休あり、ランチは食材なくなり次第終了)
公式HP:http://www.kininaru-ki.com/index.php

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モフモフまみれのおみやげ探し

「夢つる子窯」

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小さい子どもがひとりでおつかいに行くのを見てみんなが号泣するっていうテレビ番組がありますが、それに負けず劣らずこちらも感動的。

 

オリーブの木の斜向かいにある工房兼、雑貨店「夢つる子窯」の看板犬、佐之助のおつかいです。運ぶのは、お店で使う商品の梱包材。直線100メートルほどのところにある同敷地内の自宅から、ヒモでくくって輪っかにしてもらったところを器用にくわえてえっちらおっちら。昔はもっと重たいものも運んでいたけど、13歳になったので、今は歯に優しいものだけをおつかいします。

 

「佐之助くん、よろしくね」

 

お父さんの勝美さんに頼まれて、佐之助便が出発ダァ。

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やってきました。

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えっほい、わっほい。

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カメラマンの前を余裕で通過して、っと。

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素敵な後ろ姿ね。

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お店の裏口から入ります。

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到着。

お母さん、これドーゾ!

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素晴らしい(号泣)。

 

「自然と覚えてやるようになりましたね。最初はちっちゃいカゴをくわえるところから。ちなみに先代のゴールデン(佐之助のお母さん)は、散歩に行くと空き缶を拾って帰って来る子で、その時も、何にも教えていないけど自然と拾ってくるようになりましたね」

 

性格はすんごくおっとり系の佐之助。オトナの貫禄……と思ったら、小さい頃からあまり変わらず、飛び跳ねて人を押し倒すようなこともしなかったので、子どもの遊び相手も安心して任せられたそうですよ。性格だね。

 

実はお店には、看板犬がもう一匹。

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佐之助より一歳先輩のミニチュアダックス、テトがいます。長女のエリカさんが一人暮らしをしている時に相棒になったというテト、性格は、佐之助のあとをずっとついて回ったり、おやつの置き場所を忘れなかったり、執着心が強めというからダックスさんらしさ全開、かわいらしさ全開。

 

そんな二匹が看板犬を務める夢つる子窯の商品は、焼き物は母・つる子さんを中心に家族みんなで、アクセサリーはエリカさん、アロマワックスは次女の円香さんが担当して作っています。お父さんの勝美さんは、コーヒー豆の焙煎などを担当。そう、なんでも最初は見よう見まねでやってみたらできたんです、なんて言う冷水家は、みんなとても器用なものづくり一家。

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初めは焼き物からのスタートで、昔は大きいものとか渋いものとかも作っていたそうですが、時代に合わせて絵を入れたものも作るように。今はシンプルなものが人気だから、モノトーンのものが中心で、このコップも、焚き方によっては渋い色合いにもなるのを、あえて白に発色させる焚き方をしているそうですよ。

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この、両サイドについたこだわりのポッチは、湯呑みが熱くても持てる「高台」という部分を作らない代わり。ヨーグルトを入れたり、ちょっと少なめのスープを入れてワンプレートに乗せたり、夏は蕎麦猪口にしたりと、料理を楽しく盛り付けられて多目的に使える形のものを作りたかったから、敢えてザ・湯呑みといったデザインにしなかったんだそうです。主婦目線のアイディア。ポッチは、デザイン的なアクセントにもなります。

 

そしてこのマグカップにもポッチ。

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こちらは親指を乗せるところ。マグカップ持つ時、ここに指がくるから、それ用。確かにこの部分に指おくなあ。すごいしっくり。

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お店の中をいろいろと見終わって、ふと気がつくと、だいたい二匹はお昼寝モードに。入り口の床に転がっている佐之助を見つけて、安眠を妨害しない程度におなかをモフモフさせてもらいました。撫でられるのは、大好きだそうです。ワンコたちに会いに、お店に来るお客さんも多いとか。この子たちを通して、お客さんとの会話があるのもいいですね、と笑顔になるお父さんとお母さんです。

たまに下に寝ているのに気がつかないで、シッポを踏んでしまうお客さんもいるというから、みなさん、気をつけてくださいね。佐之助の自慢のシッポはとってもフワフワです!

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夢つる子窯
住所:鹿児島県霧島市霧島田口2393-8
TEL:0995-57-2218
営業時間:10:00〜17:00
定休日:不定休

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神様たちの時代と今を結ぶ
ワインの味は、ロマン味

「都城ワイナリー」

©2019 ETSU MORIYAMA

アメノウズメ、タマノオヤ、コノハナサクヤ、タジカラオ……。

都城ワイナリーでワインを選んでいると、それぞれに古事記に出てくる神様のような名前がつけられていて、ちょっと不思議に思います。

 

2010年に出来たというこのワイナリーがあるのは、日本を作った神様たちが、天界から最初に降りて来たといわれる地、「高千穂峰」を臨む場所。ブドウは、山の麓で育てられています。そんな土地柄もあって、都城ワイナリーのワインには神様たちの名前に由来するものが。

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ここには、ワイン好きだけじゃなくて古事記好きの方も結構来るんですよ、とスタッフの井上さんが教えてくれました。古事記に関する本も、いくつか置いてあります。パラパラめくっていると、フムフム私のお気に入りのタジカラオ(アメノタジカラオ)は、スポーツの神様なのねとわかったり。ワインはいろいろ試飲をさせてもらえるのですが、中でもこのタジカラオという赤ワインが好みでした。

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古事記に関しては、昔宮崎を旅行した時に、あちこち回りながら少し勉強しました。天の岩戸の話も、結構好きです。 ざっくり説明すると、アマテラスオオミカミという神様が、弟のスサノオが暴れん坊すぎていろいろ嫌になり、天の岩戸という所に引きこもった時の話。彼女の不在によって暗黒に包まれた世界をなんとかせねばと、他の神様たちが岩戸の前で宴会をし、戸を開けさせるのですが、この話がなんで好きかというと、私も嫌なことあると引きこもってだんまりするタイプだから(聞いてない)。

 

「そこに実際にお酒を飲むシーンの記述はないのですが、はだか踊りまで出るくらいだからお酒も飲んでたんじゃないかなと思うんです」

 

というのは、このワイナリーの社長、山内さんの想像。でも確かに、なかなかシラフではだか踊りができる人はいませんよね。たまにいるけどね。

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ちなみに古事記の中でお酒の話が初めて出てきたのは、出雲国風土記。ヤマタノオロチという怪物に、ヤシオリのお酒を飲ませて酔わせ倒したって話です。この“ヤシオリのお酒”というのが、木の実を集めて作ったことになっているそうで、これが山葡萄を使ったお酒、つまり赤ワインだった可能性が高いんじゃないかと。



「神様たちが降りて来たと言われているこの土地には、昔から山葡萄がいっぱいある。ということは、きっと神様たちは、ここの人たちに赤ワインの作り方教えたんじゃないかな? だからここが日本の赤ワイン発祥の地だと言ってもおかしくないのでは!? 」



……とまあこれも山内さんの想像なのですが(笑)、聞いているうちになんだかホントにそうなんじゃないかな、と思えてきました。嘘かホントかなんて通り越して、そんなロマンとともに楽しむと、ここのワインはより一層美味しくなるのです。

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美味しくワインを飲む時に、もうひとつ知っていると素敵なのが「食事とのマリアージュ」の話。九州で作られたワインにはやっぱり、九州の食材を合わせるべきなのかと思っていましたが、そんなに選択肢を狭めなくても、本当はいいんですけどね、と山内さんは言います。



「地のもの同士が合うっていうけど、それは幻想の部分もかなりある。ところが人はやっぱり、土地のもの同士だよって言われるだけで、近い部分を探そうとするんですよ。するとね、飲んで食べてを交互にした時に、その繋がりを意識するから、そこで化学変化が生まれる。これが、口内調理ですよね。口の中で料理をするんです。そうすると美味しくなるということがある」



味だけを取り出してベストマッチを考えると、いくらでも他の世界に転がっているけれど、九州は食材の宝庫。ここのワインと組み合わせるものの選択肢も、いくらでも。せっかくだから、同郷同士のマリアージュを楽しんでほしいそうですよ。地鶏かな? 魚かな? 近くで作られているチーズかな? 何と合わせようか考えると、とってもワクワク。

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もともと異業種交流会の中で、食べたり飲んだりが好きなみんなで始めた都城ワイナリー。社長を引き受けた山内さんでしたが、お酒に関する仕事を長くしていたとはいえ、作るとなるとこれまた別の話……。

 

本来寒く乾燥した地方で育つものであるブドウを、この、暖かく雨も多い日本最南端に作った畑で育てるため、甲府の育種家の方に助けてもらったりもして、山葡萄系とヨーロッパ系の品種を掛け合わせたこの土地に合う交配品種を作ってもらったとか。でも、最初は山葡萄系が強すぎたりしてその後何年も交配を重ね、ようやっと、今のメイン品種が完成したそうです。

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アメノウズメ、という甘口のワインもありますよ。

 

「オリがいっぱい溜まっているでしょう。甘口のは、発酵を途中で止めるから。本当はフィルターをいっぱいかけなきゃいけないんだけど、そうすると味が薄くなっちゃうので、わざとフィルタリングを弱くしてるんです。そっとついで飲んでみると、トロピカル系のいろんな果物の香りがしますよ。マンゴーとか、パインとかオレンジとか。もちろん材料はブドウなんだけどね」

 

いろいろ試飲をさせてもらって、お気に入りを見つけてほしいと思います。

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ちなみに試飲カウンターでいろいろ飲ませてくれたスタッフの井上さんは、ここに勤めてもう8年目。最初は畑仕事までするなんて想像もしていなかったけれど、もともと企業の総合職で時間に追われるような生活だったので、太陽や鶏の鳴き声で時を感じるような、自然と共存している感じがする今のお仕事がお気に入りだと言います。

 

この日、ワイナリー前の畑を手入れしてくれていた竹山さんは、この土地の元地主さん。ワイン用のブドウを育てるのは初めてだったそうだけど、なんでもだいたい1〜2年やれば覚えるからね、と言って器用にお仕事をマスターし、年齢を感じさせない働きっぷりでした。

 

ニコニコと楽しそうに働く、そんな皆さんが、愛情をたっぷり込めて作ってくれた都城ワイナリーのワインは、霧島温泉旅の最高のお土産。旅の帰路で考えていたのは、このことばかりです。

 

「このワイン、何と合わせて楽もうかな〜」

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都城ワイナリー
住所:宮崎県都城市吉之元町5265-214
TEL:0986-33-1111
営業時間:10:00〜16:00
定休日:木(不定休あり、見学等の場合は要問い合わせ)
公式HP:http://www.bonchi.jp/wine/

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霧島一番の展望台は
大人もはしゃぐ

「キリシマ神話の里公園」

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霧島に来て周辺の山道を走っているとわかるのですが、雑木林が多くなかなか開けた所がありません。旅に絶景はつきものだから、霧島温泉の旅では、キリシマ神話の里公園の頂上から見える眺望を、是非目に焼き付けて帰ってほしいなあと思います。

 

高千穂峰からパノラマ270度くらいの風景と、タイミングがよければ、桜島や開聞岳まで見えるんだそうですよ。この日は、あいにく霞みがかっていて、桜島までは望めませんでしたが、それでも霧島の大自然を感じるには十分でした。そして思いっきり深呼吸を。霧島は水も空気もウマイ。

 

せごどんの顔ハメパネルもあります。

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そして、神話の里公園に来たら、眺望だけ見て帰るなんてもったいないことをしてはいけません。これは体験するべきだ、と勝手に判断したアクティビティをご紹介したいともいます。



まずはスーパースライダー。頂上へは遊覧リフトを使って上りますが、眺めを楽しんだ後の帰りの選択肢は二つあります。それは、1)同じく遊覧リフトで下る。2)スーパースライダーではしゃぐ。です。女性陣は、スカート以外の服装で来ることをオススメしますよ。つまり、ここで選んでほしいのは、2番目の方法。ソリの真ん中についたバーを前後に操作して、スピードを調整しながら滑り降りるもので、ちょっとスリリングですが眺めがよくて爽快。もとい、最高です。しかし、調子に乗ってスピードを出し過ぎるとコースアウトの危険があるそうなので気をつけてくださいね。大人は大人らしくはしゃぐ、これです。

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実はそのスーパースライダーで下ったところに、もうひとつ別のスライダーがあって、それがこのファンシースライダーなのですが、「1時間500円すべり放題」につられて何も考えずにチャレンジすると、これがまさかの楽しいだけじゃない、学びのあるアトラクション。ソリを引きずりながら下から引き上げてくるたびに、だんだんと重くなる足が真実を教えてくれるのです。

 

「7往復が限界だぞ」

 

お花畑を連想させるような名前とは裏腹に、実は自分の日頃の運動不足と体力の限界を思い知らされるアクティビティなのでした。

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らくがき列車にらくがきを残してくることもお忘れなく。何を描こうか迷いながら他の方々のらくがきを眺めていたら、よくありがちなア●パンマンやドラえ●んに混ざって、こんならくがきも発見しました。

©2019 ETSU MORIYAMA
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「あさはパン♪ パンパパン♪」(中央右)

そして、

「ひるもパン♪ パンパパン♪」(中央左)

そして……

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「よるはうどん」

 

当然パンがくるものと思い込んでいた私は浅はかでした。ですよね。パンばかりではさすがに飽きますから。制限はありませんので、皆さんにも好きなだけ、この方に負けないようなウィットに富んだらくがきをしてきてほしいなあと思います。私が何を描いたのかは……内緒です。

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満足したら、ちょっと先にある動物村で、人懐こいうさぎやヤル気まんまんのやぎたちにごあいさつして、帰路につきましょう。

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他にも、中腹にある神話館では霧島にまつわる神話の映像上映があったり、春は桜や菜のお花見も楽しめたりと、気がつくとアッというまに時間がすぎてしまうほど盛りだくさんな神話の里公園なのですが、この楽しい時間を味わうためには、ある試練を乗り越えなければならないことを、お伝えし忘れておりましたので、最後に失礼します。

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「You can do it !」



それは、遊覧リフト乗り場まで、501段の階段を上るという試練です。でも、初めは見上げただけで息が切れたこの階段も、日頃の運動不足も解消できるんだな思ったらどうということはありませんでしたよ。

 

どうしても……というならば、15分おきに出ている「ポッポ列車」に乗れば、霧島の優雅な景色を眺めながら、らくらく頂上に到着という奥の手も使えますのでご利用くださいね。You can do it ! ですけどね。

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キリシマ神話の里公園
住所:鹿児島県霧島市霧島田口2583-22
TEL:0995-57-1711
営業時間:9:00〜17:15(4月〜10月)、9:00〜17:00(11月〜3月)
定休日:なし
公式HP:http://www.shinwanosato.jp/

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さて、霧島神宮周辺エリアの魅力はまだまだご紹介しきれませんが、今回はこの辺で。楽しい霧島温泉の旅となりますように。

Top image: © 2019 ETSU MORIYAMA