日本人の約5割が1975年の方が幸福度が高いと回答、イプソスが意識調査の結果を公開
世界最大規模の世論調査会社であるイプソス株式会社は、日本を含む世界30か国23,772人を対象に実施した意識調査「人生は良くなっているのか?」のレポートを公開した。
この調査によると、日本人の約半数が50年前である1975年の方が現在よりも幸福度が高いと考えていることが明らかになった。特にベビーブーマー世代ではこの傾向が強く、62%が過去を好意的に評価しているとのこと。
年長世代ほど強まる懐古志向とZ世代の意識
調査結果の詳細を見ると、世代間で意識の違いが浮き彫りになったようだ。「1975年の方が幸福度が高い」と回答した割合は、ベビーブーマー世代の62%を筆頭に、年齢が下がるにつれて減少する傾向が見られた。
最も若いZ世代では34%にとどまったものの、「現在の方が良い」と答えた21%よりは高い数値となっている。

また、「50年前に生まれるか、今年生まれるかを選べる場合、どちらを選択するか」という問いに対しても、ベビーブーマー世代(47%)とX世代(36%)は「1975年に生まれたい」と回答する人が多かった。
一方で、ミレニアル世代では「どちらも選ばない」が最多となり、Z世代だけが唯一「2025年に生まれたい」と答える人が多い結果となった。

過去と現在の社会状況に対する評価
「1975年と比べて現在の自国の状況をどう評価するか」という質問では、項目によって評価が分かれた。「人々の幸福度」については48%が「1975年の方が良い」と回答し、過去を肯定的に捉える人が多かった。
その一方で、「医療の質」や「教育制度」に関しては「現在の方が良い」とする意見が多数を占めたという。
技術や制度の進歩は認めつつも、精神的な豊かさや幸福感については過去に軍配が上がると感じている人が多いのかもしれない。

経済成長期の記憶と未来への不確実性
同社代表取締役社長の内田俊一氏は今回の結果について、高度経済成長期を経験した世代が当時の生活ペースや人間関係の強さを肯定的に記憶している可能性を指摘している。
かつては先の見通しが立てやすい時代だった一方で、現代はテクノロジーや医療の恩恵を受けつつも、未来に対する不確実性が高まっていることが背景にあるのかもしれない。
【 調査概要 】
調査方法:イプソス グローバルアドバイザー調査プラットフォーム 、IndiaBus プラットフォームを使用したオンライン調査
調査対象: 世界30か国23,772人
インドでは18歳以上、カナダ、アイルランド共和国、マレーシア、南アフリカ、トルコ、米国では18~74歳、タイでは20~74歳、インドネシアとシンガポールでは21~74歳、その他の国では16~74歳
実施日: 2025年8月22日から9月5日
調査機関:イプソス






