Z流リスクマネジメントは、「陰キャ」を演じること

全国の15〜27歳の男女500名を対象に第一生命グループの「第一スマート少額短期保険株式会社」が実施した意識調査で、Z世代の約7割が自身を「陰キャ」と捉えていることが明らかになった。

根暗で友だちも多くない、そんな陰気なキャラクターだと自称する若者たち。でも、どうやらそこには彼らなりの深い意味があるようで……。

Z世代の約7割が“自称陰キャ”

©第一スマート少額短期保険株式会社

今回の意識調査、じつは過去に同社が実施した調査のなかで、Z世代は新たなチャレンジを周囲に直接伝えず、SNSでアピールする傾向があることが判明。その“隠れチャレンジャー気質”を踏まえ、新たに「陰キャ」「陽キャ」の観点から「自認する性格と、他人から見た性格」についての調査を実施した経緯がある。

その回答が上記円グラフだ。

結果、69.2%が自認する性格を「陰キャ」とした。自身を「陰キャ」と感じたシーンについて、「大人数の集まりで気疲れした時(77.5%)」、「人前で話す時(75.3%)」「大人数の前に立つ時(74.9%)」が上位に。さもありなんな回答が並んだ。

さらに、全体の約半数が陽キャとカテゴライズされることに「抵抗がある」とも回答。陰キャの真逆にあたるはずの性格だが、なぜそこに彼らは抵抗を覚えるのか?

あえて「陰キャ」を演じ
リスクマネジメントを図る

©第一スマート少額短期保険株式会社

前述のグラフからもわかるように、周りから「陽キャ」と認定されることに一定の抵抗感を覚える若者たちが約3割、さらには自分自身を陽キャであると明言することはリスキーだとする人はZ世代の約半数に及ぶことが明らかに。これ、どうやら周囲からの過度な期待やプレッシャー、そしてプライベートを侵害されるといったリスクと隣り合わせだと彼らは考えているようだ。

実際に性格を「陽キャ」に取りつくろったことによる失敗談も紹介されている。これがなかなかにリアルでZ世代の悲哀が込められていておもしろい。一部抜粋してご紹介。

「ありとあらゆるイベントの主導役をやらされた」(23歳)
「最初はうまく話せたが、後々話せなくなった」(24歳)
「無理に自分を演じようとして、気疲れしてしまった」(27歳)

こうした経験から、安易な陽キャ認定にリスクを感じるZ世代。他人から陽キャに見られていてもあえて陰キャを演じることを好む傾向にあることがうかがえる。

”自称陰キャ”の増加は
ポジティブな傾向か?

さて、最後に少し筆者(Z世代)自身の体験談をご紹介させていただきたい。

「内定式で宣誓を任されて最悪だった。同期にも先輩にも率先して前に出るタイプと思われるのがイヤ」という友人の嘆きを聞いたことがある。就活の面接で陰キャを公言するのはリスクが大きい。内定式の場で“人の前に出る”ことのリスクを回避することはさぞや難しかったろう。

けれど、思えばMBTIをはじめとする性格診断ツールがこれだけ普及したいま、「陰キャ」か「陽キャ」かという単純な二分法ではなく、個人の性格をより細かくカテゴライズする風潮を強く感じる。多様な性格を互いに認め合うようになったのもこうした細分化が大きく影響しているのではないだろうか。

「陰キャ」やMBTIの内向型を表す「I」を自称しても、不利益が少ない社会へと変化してきていることはある意味で前向きな進展だろうし、今後より個性を尊重する社会へと向かうはず。

陰キャか陽キャか──それすらも場面ごとに使い分ける柔軟性が職場・社会のなかで求められていくのではないだろうか。なんて、考えたりするわけで。

実施概要(Z世代のキャラクター別チャレンジ意識調査)

【調査期間】2024年8月9日〜8月10日
【調査方法】インターネット調査
【調査地域】全国
【調査対象】Z世代(15〜27歳)男女500人
【調査会社】第一生命グループ「第一スマート少額短期保険株式会社」調べ

Top image: © iStock.com/D76MasahiroIKEDA
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