「ベーシックインカム」は、若者たちの救世主となるか?【ウェールズ】

コロナ禍で生活困窮者が急増したことを機に、日本でもベーシックインカムが再び注目されている。

すべての国民に対して定額のお金を定期的に支給することで、相対的貧困をなくし格差是正をおこなう社会保障。最低保証で生活に多少なりとも余裕が生じれば、雇用の促進にもつながる。自身の生活に当てはめたとき、どんな生活が想像できるだろうか。

さて、先月ウェールズ政府は、「ケアリーバー(Care Leaver)」を対象とする所得保障(ベーシックインカム)事業を試験的に導入することを発表した。

試験的な施策ではあるものの、約500人に対し、月額1600ポンド(約24万5000円)を18歳の誕生日から2年間給付する計画だという。

年間1万9200ポンド、これはウェールズの実質生活賃金を踏まえて設定されたもので、同国のユニバーサル・ベーシック・インカム施策のなかでももっとも高額となる。試行期間は3年間の継続となる見込み。

ちなみにケアリーバーとは、児童養護施設里親制度の元で育った子どもたちのこと。英国では養護施設や里親で育つ子どもの数が7万人近くにものぼるそうで、彼らは年齢が16歳から18歳に達するまでに自立が求められるため、これまでも社会へと出ていくための支援が必要とされてきた。

自立した若年成人へと成長していく過程での、適切な支援。そこを見極めるための試験導入ということのようだが、来年度の事業開始に参加資格を有するのはわずかに500人程度ということからも、ほんのひと握りなのは否めない。

それでも、ウェールズ自治政府Jane Hutt社会正義担当大臣はいう。

「養護施設を出た若者たちの多くが、大人になる前段階で多くの障壁に直面しています。経済的安定をもたらすことで、ウェールズの誰もが幸せで健康的な生活を送れるよう、全力で支援します」。

ベーシックインカムが、どのような範囲で機能を発揮するかの意見は分かれるところ。が、弱い立場の人々を支援するという前提は変わらない。

社会のため、今後のよりよい未来に向けたステップアップとして、社会保障が有効活用される世の中を期待したい。より良い生活のはじめの一歩となるために。

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