猿だけじゃない!動物たちもみんな、群馬・草津温泉を楽しんでいる

「にっぽんの温泉(観光経済新聞社主催)」ランキングで15年連続1位とか、ほかにもあらゆるランキングに何かとランクインしている群馬県の草津温泉。そんな草津温泉を楽しんでいるのは、私たち人間だけではありませんでした。たとえば、カピバラ、猿、ワニなどの動物たち……とか。

有名な湯畑から歩いて10分ほどの場所にある動物園「草津熱帯圏」には、温泉地ならではの仕掛けと、壮大なストーリーがありました。

© 2018 Etsu Moriyama
草津温泉のお湯は恋の病以外はなんでも治してしまうとか。写真は「湯畑」

町の有志が生み出した
草津になくてはならない場所

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「草津熱帯圏」の開園は昭和45年(1970年)のこと。当時、志賀草津高原ルートが開通するということで、草津町の人たちに不安がよぎったんだそうです。関東から来た人たちが草津に寄らずに長野の方へ行ってしまうかもしれない、と。

そこで、温泉や自然以外の部分で、訪れた人たちが遊べる施設をつくりたいということで誕生したのが「草津熱帯圏」でした。

そんなこんなで、「日本一の爬虫類公園をつくろう!」と、園長に抜擢されたのが、現在も園長を務める今井園長でした。幼い頃からヤギや鳥などを飼いながら育ち、かつ、「ジャパンスネークセンター」での飼育員経験があるという、まさに適役だったのです。

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「草津熱帯圏」は「日本でもっとも高い場所(海抜1165メートル)にある動物園」「爬虫類の飼育数が日本一の動物園」「日本で唯一ペット同伴OKの動物園」という3つの“日本一”をもっているというだけでも十分なのですが、ぜひ知っておいてほしいのが、今井園長だからこそ実現できた、今では考えられないような衝撃のエピソード。

エリマキトカゲを
パプアニューギニアで捕獲!
ブーム真っ只中の初来日

© 2018 Etsu Moriyama

「エリマキトカゲ」。

一見普通ですが、顔の周りの襟巻を広げて一生懸命二本足で走ったりするトカゲです(めったにその姿は見せません)。

このエリマキトカゲ、今でこそ認知されていますが、はじめて日本人の前にちゃんと姿を現したのは、昭和59年(1984年)のことでした。三菱のミラージュという車のCMに出たことで、それはそれはブームになったんだそうです。とはいっても、ピンとこない人も多いかと思いますが(私もそのひとり)、本当にもう、一世を風靡するレベルだったんだそうです。私は爬虫類がそんなに得意じゃないので、たぶん実際に走って来られたら泣きますが、はたから見る分には、確かに愛くるしい姿です。しかもトカゲが二本足で走るなんて概念がなかった時代、一大ブームを巻き起こしたのはなんとなく理解できました。

でも当時、エリマキトカゲは日本には存在せず、映像のなかだけの生き物……。


そこで、今井園長自ら、
パプアニューギニアに捕まえに行ったというんです。

© 2018 Etsu Moriyama

もともと、捕獲ではなく譲り受ける予定でパプアニューギニアに渡った今井園長。ところが、約束していた場所で飼育されていたエリマキトカゲが死んでしまっていたんだそうです。で、パプアニューギニア政府に言われたことが「もし捕まえられたら、輸出許可証を出すので持って帰ってもいいですよ」というものでした。

……ということで、捕まえるしかない!と。
週刊少年マガジンとか週刊少年サンデーとか、三菱ミラージュのポスターとか、あらゆるエリマキトカゲの写真を持ち込み、(本当は帰りに香港で豪遊するために持っていっていたお小遣いを全部つぎ込んで)飛行機をチャーターし、いざ捕獲場所へ。

「現地で持ってきたグラビアをとり出して『you know?』って聞くんだけど、みんな『no』って言うんですね。ずーっと聞いてまわっても、誰も知らなくて、諦めようとしていたら、10人くらいの子どもたちが、弓矢とか槍なんかを持ってやってきたんですよ。ジャングルに狩り旅行に行って帰って来たばっかりだって言うから、すかさず『you know?』って聞きました。そしたら『oh! This is a バンガー!』『plenty!plenty!』って言ったんです。地域ではエリマキトカゲのことをバンガーって呼んでいて。なので、子どもたちと一緒に捕獲場所まで移動して3〜4時間歩き回りました」

結局1日目は捕獲できず、2日目へ。

「朝は6時に起きて、もう一度捕獲場所へ行きました。子どもたち10人と私とで10メートルおきに並んで歩き始めます。エリマキトカゲの習性上、太陽が出てこないとダメなんですけど、2時間半くらい経ったときに、1人が『バンガー!!』って叫んだんですよ。30メートルくらい先にある5メートルほどの木の上にいるって言うんです。そんなこんなで、その日のうちに2頭捕まえることができました。5〜6時間くらいかかりましたかね」

3日目にもう1頭捕まえて、無事輸出許可証がおり、3頭のエリマキトカゲとともに帰国した今井園長。帰国した足でそのままテレビに出演し、しばらくメディアに引っ張りだこだったんだとか。

とにかく行動力がすごいです!

現在はパプアニューギニアからきたエリマキトカゲの三代目子孫が、熱帯大ドームという施設の中にいるのですが、この施設がまた、おもしろいんです。

温泉を使ったドームの中で
動物たちが快適に暮らしている

© 2018 Etsu Moriyama

さすが、温泉街にある動物園という感じなのですが、施設の一部に温泉熱が使われているんです。使用箇所は、熱帯大ドームの一部分と猿山の露天風呂。比率では温泉熱よりも燃料を使うことのほうが圧倒的に多いそうなのですが、温泉地ならではの事実にただただ感動しました。

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ドーム内は熱帯のジャングルが再現してあり、動物たちが暮らしやすいように一定の室温に保たれていました。天井の高さは15メートルもあり、ちょっと不思議な3階建てのような構造です。


このドームを含め「草津熱帯圏」では、現在250種・1000頭の動物たちが暮らしているのですが、個人的に気になった動物たちがこちらです。

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ワニは、小さいものから体長5メートルくらいのものまでたくさんの種類がいましたが、小型の「ジョンストンワニ」がかわいいです。

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めずらしいカメもいっぱいいます。甲羅にびっしり苔が生えたこの「ヒメニオイガメ」は、ぜひ表情に注目してみてください。

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「ヨザル」のよっちゃんは、ちょっと恥ずかしがり屋さんのようで、ずっと、箱の中から顔だけを覗かせていました。

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大きい「ミニブタ」のぶーちゃんは、エサにがめつく、鼻先が自由自在でした。

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偶然にもこうやって、飼育員さんによるヘビ体験の場面に遭遇しました。団体でお子さんが来られたときなどに、不定期でこのような機会を設けているんだそうです。

© 2018 Etsu Moriyama

こちらはドーム外ですが、猿山のニホンザル(いい表情です)。このお風呂が、草津温泉が使われているという露天風呂です。それにしても、毎日温泉に入れるなんて羨ましいです。

カピバラ、いろいろ。

「草津熱帯圏」で、いちばん人気なのがカピバラです。ドームの変わった構造上、動物たちを上からも真横からも見ることができるので本当に楽しいです。カピバラもしかり。いろんな表情をゲットすることができました。

© 2018 Etsu Moriyama

温泉×カピバラが少し前にブームになりましたが、「草津温泉」ののれんを見せられてしまうと、本家感がぬぐえません(笑)。

© 2018 Etsu Moriyama

こんなにのびのびしているカピバラをはじめて見た気がします。

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今井園長に撫でてもらって、うっとり、この表情。
(実際に撫でたり、エサをあげたりできます)

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3月に生まれた赤ちゃんの「まる」は、とくに人気者です。

「どうぶつはみんな友達」

© 2018 Etsu Moriyama

ご紹介が遅れましたが、こちらが今井園長です。

「動物とお客さんが仲良くなれる、そういう飼育展示をしようと思っています。これくらいだったらお互い(お客さんも動物も)が大丈夫だろうと思われる枠の中で、お客さんが動物に触れられるような環境をつくろうって思って」

動物たちとの距離の近さは、たしかに「草津熱帯圏」の魅力のひとつ。多くのファンもここに惹かれているようなのですが、あとはこれ。

© 2018 Etsu Moriyama

「どうぶつはみんな友達」

イラストが可愛らしいチケットに書かれているコピーです。これは、今井園長やスタッフさんたちが昔一緒に考えたもの。今井園長が動物たちに向ける眼差しや、動物たちの周りに設置してある手作りの説明書きからも、この精神をひしひしと感じました。


もし、旅の行き先に、癒しを求めて草津という場所を選択した人は、ぜひ「草津熱帯圏」にも足をのばしてみてください。ローカルな動物園だからこその優しい雰囲気とかわいい動物たちから、温泉とはまたちょっと違った癒しを得ることができると思います。そして、このことを知っているのは、きっと私だけではないはずです。

「草津熱帯圏」
住所:群馬県吾妻郡草津町大字草津286
TEL:0279-88-3271
営業時間:08:30〜17:00
定休日:無休
公式HP:http://nettaiken.com/index.html
Facebook:https://www.facebook.com/k.nettai
入園料:大人1000円、高校生700円、子供600円

Top image: © 2018 Etsu Moriyama
取材協力:群馬県
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