フィンランドの五輪パビリオンが示す「建築の未来」

「21世紀の建築」と「木」は切っても切り離せない。

建築専門ライターじゃない自分が、こんなことを言うのはおこがましい。

でも、ここで紹介する「メッツァパビリオン」は、間違いなく“木造建築の可能性”を示している。

フィンランド大使館が主催するプレスツアーに参加し、ヘルシンキで担当者に話を聞いて、そう確信した。

既存の建物の上に建設
分解して再利用も

©Metsä Group

メッツァパビリオンは、東京五輪期間中に駐日フィンランド大使館の敷地内に登場予定。

フィンランドの林業大手「メッツァグループ」と、同国政府系機関「ビジネスフィンランド」が共同で建設するもので、展示会やセミナー、同国五輪チームのミーティングなどがおこなわれる。

従来、1階部分はガレージ(駐車場)として使用されているスペース。ガレージを維持するという制約に、上部と周辺を木で囲む形で対応できるのは、木造ならではだろう。

使用される木材は簡単に分解でき、場所を移して再度組み立てられる設計になっている。実際に、2020年末には解体されるが、木材は捨てられることなく、別の場所で再利用されることになるという。

この建築方法は、今回のように既存の建物の上に建設する際に有効なほか、もっと大規模な建物にも応用することが可能だ。

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木造建築のメリットは他にもある。

メッツァパビリオンは、部品の状態で輸送され、現地で組み立てられることになっているが、組み立てが可能な一部の部品はメッツァウッド社の提携工場で事前に組み立ててから輸送される。

これにより、現場でのより迅速な建設が可能に。今回は1〜2週間予定というから驚きだ。

木は「持続可能型の管理」をされた森から

©Metsä Group
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それだけではない。

もっとも強調すべきは、この木造建築がサステイナブルで環境にやさしい点だ。

使用される木材は、メッツァグループ傘下の「メッツァウッド社」が製造した「Ketro LVL(積層ベニヤ材)」。フィンランド北部地域の持続可能型の管理をされた森で育ったトウヒの木が原料となる。

Ketro LVLの製造過程においては、トウヒの木の全部分を効率的に使用するため、ほぼ端材が出ない。おがくず、樹皮、チップなどの副産物は、パルプやバイオエネルギーの生産に利用され、そのバイオエネルギーの一部がKetro LVLの生産に使用されるというポジティブなサイクルを生み出している。

©2019 NEW STANDARD

建築材料としての木材は大量の二酸化炭素が永続的に保存され、長期的に二酸化炭素の貯蔵庫としての役割をも果たす。

メッツァウッド社のビジネス開発担当副社長、ミッコ・サーヴァライネン氏は胸を張った。

「私たちのKetro LVLを使用したメッツァパビリオンの建設は、石油製品をリサイクル可能な原料に置き換えるという、メッツァグループの目標に沿ったものなのです」

世代を超えて続く
フィンランドの森の物語

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メッツァパビリオンの建設に使用されるKetro LVLは、ユッカ・ヘイコネンという男性が所有する森の木。そう、フィンランドの多くの森林は「家族林業」という独特な形で管理されている。

「私たち家族は、この森を三世代にわたって所有し、管理してきました」

林業を持続可能にするためには、常に森林の更新が求められる。伐採された木は、4本の苗木に置き換えられるという。

「森の物語は続きます。常に新しい木が植えられ、大切に育てられていくのです」

再利用可能で美しく、建設は迅速。サステイナブルで環境にやさしい──。

ヘルシンキで、たしかに建築の未来を見た。

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Top image: © Metsä Group
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