フィンランドで学んだ「しあわせ」の感じ方
フィンランドは2年連続で幸福度ランキング世界一位に輝いています。フィンランドへ何度も行くようになって、フィンランドが地球で一番しあわせな国である理由がすこしずつ、わかってきたような気がしています。
去年の夏、フィンランド湖水地方の全く人がいない森のサウナへ行ったときのこと。夕方、マジックアワーでピンクに染まる湖にスモークサウナで温まった体で飛び込み、ぼんやり考えていました。フィンランドって「Low expectation, high satisfaction(過度に期待しない。だから、幸せ。)」の国なんじゃないかなと。
例えば、フィンランドの冬。陽が出るのは朝の10時ごろ。と言ってもせっかく昇った太陽は、夕方のように低い位置にあって、そのまま4時ごろには沈んでしまいます。しかもそれは晴れている日だけ。フィンランドの冬は曇っていたり雪だったり、そんな日ばかり。暗くて寒くて長〜い冬を毎年過ごしているフィンランド人は太陽が出るだけで「今日は太陽が出てる、しあわせ」と言います。ごはんを食べれば「おいしいごはんが食べられてしあわせ」と言いますし。わたしたちが日々の生活で忘れがちな、小さくて普通で当たり前のことにとっても感謝していて、しあわせを感じている人たちなんです。
また、フィンランド人は物質的価値からしあわせを決めていなくて、もっと自分の心と身体がシンプルにしあわせだと感じることを大切にしているような気がしています。例えばモノを買うことで得られる喜びやキャリアで得られる達成感はもちろん気持ちのよいことですが、それは浮き沈みのある幸福感だし、置かれた環境や他の人の影響で変わってしまいがちです。なにをしあわせと感じるかは、人の評価や外側からの影響ではなく、心と身体が自然と感じることにゆだねると、自分の内側から感じられるようになるんじゃないかなと思います。
そう、もうひとつ。フィンランドでは、小さいときから「人それぞれ違っていていい」って教えられるそうです。学校の勉強でも、日本のように「正解はひとつだけ、それ以外は×」ではなく、どうしてその答えだと思ったのか、その答えにたどり着いた考え方を先生たちは尋ねるそうです。これもフィンランド人が自分のしあわせの物差しを持っている理由かなと思います。
そんなフィンランドに週末プラスαででかけて、シンプルなしあわせの感じ方を自分の心と身体で感じて帰ってこられたら、日本に住んでいてもきっと自分のしあわせの物差しを持てると思うんです。
わたしがそう感じるようになった旅のお話をイラストとエッセイで書いたのが、今回出版した『週末フィンランド』(2020/2/27発売)です。みなさんがフィンランドへ行こうと思ったときに、旅の参考になればいいなと思います。
「森の中のサウナに入って、オーロラを見たい!」心が疲れたら週末に有給1、2日をつけてフィンランドへ。サウナ発祥の地と言われるフィンランドは、森、湖、オーロラなどの自然からデザインやグルメまで楽しめる「地球で一番しあわせな国」。本書はフィンランド観光局公認サウナアンバサダーの岩田リョウコ氏による、初めての人でも二度目、三度目でも、とにかく週末でフィンランドをたっぷり堪能するための最新情報が満載の1冊です。