【ミレニアル読書】日本では3組に1組が「離婚」する時代です——『ぼくたちの離婚』

「95年生まれ、一人暮らし、恋人なし」のミレニアル男子が、書店をめぐって一冊に出会う!書籍紹介の連載です。

今回はポップカルチャーから女子論まで、幅広いジャンルをカバーする編集者の稲田豊史さんによるルポルタージュ『ぼくたちの離婚』(角川新書)を読んでみました。

どの夫婦にも「地獄」がある
(本書、帯より)

どうも、未婚の独身ミレニアルズです。結婚願望はないし、然るべきパートナーもいない。控えめに言っても、「結婚」とは縁遠い生活をしています。

ですが、そんな僕の身の回りでは、以前にも増して結婚というものが現実的な話題になっています。SNSを開くと「入籍のご報告」が流れてくるし、同棲を始める友人カップルは特に増加中。時間とともに“大人”になっていく友人たちの様子を、「末長くお幸せに!」と遠いところから願う日々です。

とはいっても、日本では3組に1組が離婚する時代っていうじゃないですか。悠長に明るい未来を思い描くだけでは、不測の事態に対応できない気がするんですよね。だからこそ、離婚について具体的な話を知ってみようということで本書を選びました。

本書は「離婚に至るまでの経緯や顛末」を、男性サイドの私感に著者の客観を織り交ぜながら書き進めたルポルタージュ作品。

「理想の夫」になれない自分との葛藤や結婚後に気づいた「金銭感覚」のズレ、セックスレスや子育てに関する「価値観の違い」など、経験者たちそれぞれの体験が語られています。で、これがかなり生々しい。他所様の家庭の事情なんて、なかなか覗けませんからね。

なかでも、妻の「W不倫×2」が発覚した後、1年かけて離婚協議を成立させた男性の発言が印象的でした。

「僕はまた結婚したいと思っていたので、再婚相手に見せられる証拠を残したかったんです。前の離婚で自分には一切責任がないという証拠を」

相手に見切りをつけると、ここまで冷静になれるものか。パートナーとはいえ他人と一緒になることの難しさを思い知らされます。

そもそも「人生100年」なんて言われる時代です。きっと多くの人にとって、一生を同じパートナーと添い遂げるって難しいはずだし、これからの時代は「役割分業的」な複数のパートナーとの関係性が、理にかなってるのでは?——そんな村田沙耶香の小説みたいな話が頭の中にチラついてしまうのは、結婚のシアワセを知らない若者の考えに過ぎないと思うので、どうか聞き流してください。

最後に、ミレニアルズにとって本書の見所は「結婚がすべてじゃないことを教えてくれる!」ですね。

周囲が結婚で盛り上がっていると、自分だけが取り残されているかもというモヤモヤが心に溜まっていきます。結婚というゴールを達成することが世間的に“正しい”ことであり、その希望すらない自分は間違った存在なのかもしれない……みたいな。

ただ本書を読めばわかる通り、結婚が必ずしも正しいわけではありません(笑)。その選択がプラスになった人もいれば、そうでない人もいるのです。いまや事実婚のように結婚のカタチも多様化しているこの世の中において、様々な「ぼくたちの離婚」を語る登場人物たちのリアルな体験談から、「なんとなく結婚が正しい」という価値観に縛られる必要はないということを教えてくれるはずです。

 

【読んだ本はコチラ】

『ぼくたちの離婚(角川新書)』
著:稲田豊史著
出版社:KADOKAWA
価格:860円(税別)

Top image: © 2020 NEW STANDARD

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