ミュージアムグッズ愛好家・大澤夏美さんの「圧倒的ひとめぼれグッズ」5選

もちろん「かわいいだけ」で買ったっていい。
でもこの記事を読み終わる頃、きっと「かわいい」のひとつ向こうへ視点がいくはず!

ひとめぼれした5つのグッズとともに、博物館とそれの奥深い関係性について語ってくれたのは、ミュージアムグッズ愛好家の大澤夏美さん。

全4回に渡って、ミュージアムグッズの魅力を偏愛たっぷりに教えてもらったこの企画も、これが最終回。読者の皆さんがこれから博物館や美術館に行ったとき、ミュージアムグッズの見え方がすこしでも変わっていたら、とっても嬉しいです!

大澤夏美/ミュージアムグッズ愛好家

札幌在住。大学時代はメディアデザインを専攻、修士論文もミュージアムグッズについて論じちゃった筋金入り!ミュージアムグッズを紹介しているnoteも更新中。(https://note.com/momonoke

01
北海道大学総合博物館の「アンモナイトキャンドル」

©NATSUMI OSAWA

やたらリアル!と思ったら……
つくり方が “超本気” な「キャンドル」

見た瞬間に買おうと決めました。

蜜蝋のキャンドルなんですけど、やたらリアルで細かくできているなと思ったら、ちゃんと本物のアンモナイトから型をとっているとのことで……。博物館の方が「アンモナイト風のはあるかもしれないけど、うちは本物から型を取ったからね」と言っていて、さすがだなと思いました(笑)。

この商品は北広島デイセンターとのコラボレーション商品だそうです。この仕上がりを見ても、きめ細かい商品作りと本物に忠実に作ることへのこだわりが感じられます。ショップの運営団体も、日々博物館の先生方とコミュニケーションをとりながらグッズ製作をしているので、このリアル感が実現できるのだと思います。

アンモナイト自体は好きな人も多いし、インテリア雑貨として持っている人もいるかもしれません。でも「アンモナイトのキャンドル」を持っている人ってたぶん、いませんよね?

02
国立科学博物館の「豆皿」

©NATSUMI OSAWA

有名な博物館だけど、常設展が推し!
ロマンチック極まりない「豆皿」

トロートン天体望遠鏡の豆皿ですよ。見てください、和名で星の名前が書いてある!この部分がすごくかっこいいし素敵で一目惚れでしたね。お客さんを家に招いたときとかに出したい……!豆皿ファンはもちろん、食器沼の皆さんにもおすすめしたいグッズです。

かはく(国立科学博物館)って全国的にも有名な大きい展示をたくさんやっているんですけど、とくに常設展が本当に面白くて。その中の「日本館」というエリアに科学技術史というコーナーでは、天文学を学ぶ上で使われていた道具や装置、当時の文献などが展示されています。古い天体望遠鏡や顕微鏡や天球儀にロマンを感じて悶絶……。 上野に行った際にはぜひこの常設展にも!

03
上野動物園の「ほんとの大きさパンダの仔」

©NATSUMI OSAWA

日本中が歓喜したあのニュース!
なんと “アレ” を家でもできちゃう「ぬいぐるみ」

右から、生後2日目、10日目、20日目のシャンシャンのぬいぐるみです。大きさと重さも実際の数値を再現していて、シャンシャン、こんなだったのね……って母性が全開になるグッズ(泣)。しかもですよ、20日目のぬいぐるみの横にある布のメジャーがついてくるんですけど、テレビで話題になっていた「シャンシャンの身体測定」が家でもできちゃうんですよ!(「シャンシャン 身体検査」で動物園の公式動画見られます)

「動物園も博物館なの?」と聞かれることがありますが、動物園も博物館なんです。もちろん水族館も。動物も魚たちも、生態展示されているんですね。繁殖と種の保存が動物園の最大のミッションなわけですが、パンダもレッドリスト入りしていて、絶滅の恐れがあります。それを踏まえて、シャンシャンたちが生まれてきてくれた喜びを考えると、このぬいぐるみをつくっちゃいたくなる気持ちもわかります……。

ちなみに、動物のぬいぐるみを買うなら動物園や水族館で買ったほうがいい!と個人的には思っていて。学術的な正確性が半端じゃないですし、ゾウのぬいぐるみにしたって、アフリカゾウとアジアゾウで耳の大きさが違う……ガチさが違うので!

04
ニフレルの「ニフレルノート」

©NATSUMI OSAWA
©NATSUMI OSAWA

気づいたら必死に動物を観察してしまう!
子どもも大人も、とにかく楽しい「シールブック」

「生きているミュージアム ニフレル」という水族館のグッズです。娘と一緒に行ったときに、かわいかったので買ってみたら、館内で発見した動物のシールを貼って完成させていくノートで!

でもこれ、動物を見つけてただシールを集めていくだけじゃないんですよ。飼育を担当するキュレーターさんに、たとえば「ペンギンの足は何であの色なんですか?」とかいろんな質問しますよね。そしたら答えてくれて、なんと限定シールをもらえるんです。もう必死ですよね(笑)。そのシールがほしいから、子どもたちはみんな一生懸命観察するわけです。

シールだけでもかわいいし、ノートに貼っていくという作業も楽しい。なんだこれは!?と思って一目惚れでした。動物たちの特徴や豆知識が書いてあって勉強にもなるし、一生懸命見る、ということを楽しみながらできる。ニフレルに行ったらこれは絶対買い!です。

05
山種美術館の「刺繍シール」

©NATSUMI OSAWA

一見タブー?
大切なことを大切にしてきたから、
実現できた「シール」

はぁ、かわいい……(溜息)。所蔵している速水御舟の日本画に描かれた動物たちを抜き出して、刺繍のシールにしているんです。絵画の中からモチーフを抜き出すって、なかなかチャレンジングなことだと思いますよね?学芸員さんはやっぱり絵全体を見てほしいし、寄贈した人もご遺族もそういう意向かもしれないし。

でもこのグッズができたのは、美術館と作家本人やご遺族との関係性を大事にしてコレクションをつくってきているからだと思うんです。代々の作家との繋がり、関係性をちゃんと構築してきた美術館だからこその信頼関係がベースにあって、生まれる自由がある。そこに面白みを感じました。

グッズも素敵ですが、速水御舟の実物の絵もぜひ観ていただきたいです。写真で紹介しているシールでは、黒い猫が描かれている『翠苔緑芝』という屏風なんて感動しますよ。2つセットで飾る屏風で、枇杷と猫が描かれている方があるんですけど、このふたつのモチーフの書き込む際の技巧の違いが素晴らしくて。あれ観たあとにショップでこのシールが売ってたら……そりゃ買っちゃいますわ!(笑)。

Top image: © NATSUMI OSAWA
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。