「絶対的お気に入り5選」ミュージアムグッズ愛好家・大澤夏美さん

もちろん「かわいいだけ」で買ったっていい。
でもこの記事を読み終わる頃、きっと「かわいい」のひとつ向こうへ視点がいくはず!

お気に入りのミュージアムグッズとともに、博物館とそれの奥深い関係性について語ってくれたのは、ミュージアムグッズ愛好家(そんな愛好家いたんだ!)の大澤夏美さん。

「博物館の “財産”とされる展示品や収蔵品、そしてロゴマークや建築。これらを知り尽くし、どうにか伝えたいという気持ちがちゃんとグッズに反映されているか。その点に着目して5つ選んでみました」

なるほど。すでに着眼点が違います。
それでは大澤さん、偏愛たっぷりのミュージアムグッズ・ジャーニーに連れてって!

大澤夏美

札幌在住。大学時代はメディアデザインを専攻、修士論文もミュージアムグッズについて論じちゃった筋金入り!ミュージアムグッズを紹介しているnoteも更新中。(https://note.com/momonoke

01
モエレ沼公園のオリジナルトートバッグ

©Natsumi Osawa

ミュージアムグッズの枠を飛び越えて
ひとつのモノとして愛される「トートバッグ」

この公園(知らない人はググってみて!このトートバッグの魅力がより伝わるはず)を設計したイサム・ノグチの思想、そしてそれがどのように表現されていったのか、一連の物語をトートバッグに落とし込むって相当難しかったはず!それがこのようなかたちで具現化されているのが面白いですよね。園内にあるピラミッドや噴水などのシンボルが、幾何学的に配置されています。

購入した方がインスタグラムにアップしていたり、有名なスタイリストさんが著書で紹介していたり。ミュージアムグッズというものを飛び越えて、ひとつの「モノ」として愛されていることが伝わってくるアイテムなので、まずはこれをおすすめします。オンラインであまりにもずっと注文が入るから、中の人は「なんでだろう?」と不思議がっていて。こういうところで広まっているんですよ、と教えました(笑)。

02
渡辺淳一文学館のポストカード

©Natsumi Osawa

ものすごくこだわった逸品なのに
まだまだ知られていない「ポストカード(と、ラッピング)」

あの『失楽園』(講談社 刊)の渡辺淳一です。彼の文学館、建物がとてもおしゃれだなと思ったら建築がまさかの安藤忠雄。なのにほとんど取り上げられていなくて全然知られていないのですが(笑)。当時の設計図をそのままポストカードにしたものが売られているんです。

カード自体も素晴らしいのですが、じつはラッピングがとても素敵。渡辺淳一は原稿用紙をオリジナルで作っていたんですけど、なんとそれを模した紙で包んでくれるんです。さらに直筆のサインのコピーまで印刷されているという芸の細かさ!極め付けは、彼が使っていた落款(印鑑)のシール......。ものすごいこだわりなのに、インターネットで調べてもこのポストカードもラッピングも全然出てきません(笑)。文学館自体もとくに推している気配がなくて。そんなところもいい。

館内の喫茶コーナーでは著書を閲覧できます。『失楽園』しか知らなかったのですが、じつは淳一、食に詳しくてそのエッセイのほうが面白かったりしたのも発見でした(笑)。

03
明治大学博物館の「鉄の処女」のレターセット

©Natsumi Osawa

商品開発の苦悩を思うと……(涙)
なにかと考えさせられる「レターセット」

明大の博物館には、歴史上の拷問具、処刑具などの刑事博物を通して人権の尊重への理解を深めるための展示があります。その中でも象徴的なのが「鉄の処女(アイアン・メイデン)」。知らない方はぜひどんなものか調べてみていただきたいのですが、どうやってグッズにするの?と思っていたんですよ。昔のものとはいえ、処刑するための道具です。倫理的な面での課題もあるでしょうし......。

でも、こんなにやわらかい雰囲気のレターセットになりました(笑)。これはチャレンジですよね。学術的に貴重な資料としてちゃんと伝えつつ、重くなりすぎない商品づくりをどこまでやるのか?という。商品開発の苦悩とバランスをとることの難しさをすごく考えさせてくれるんですよ。

さらに、グッズになる収蔵品とそうじゃない収蔵品の違いって何だろう?ということも考えさせられます。価値的にはどれも平等なはずで、そこに優劣をつけるのってどうなの?という問いが生まれ......これこそが博物館学の入り口でございます(笑)。

04
京都国立博物館のおりがみ

©Natsumi Osawa

楽しく折ると、スゴイモノが完成する!
1000年先を見据えた「おりがみ」

こちら、重要文化財や重要美術品が折り紙で折れます(笑)。灰色の虎のキャラクター......キャラクターって言っちゃダメですね、なんと尾形光琳の「竹虎図」のあの虎なんです。俵屋宗達が描いた重要文化財にもなっている鶴も折れちゃうし、江戸時代の着物は、本物と同じ柄の折り紙で作れちゃう。楽しく折っていたら知らず知らずのうちに収蔵品になるという最高のグッズです(笑)。

でもこれって中の人がちゃんとモノを理解しているからできること。長い時間をかけて培ってきた知見を取り入れてこのようなグッズが実現しているということに、めちゃくちゃビンビンきますね。

ちなみに、尾形光琳の虎は「トラりん」という名前でゆるキャラとしても大活躍中。グッズも絆創膏やスマホケース、LINEスタンプなどと幅広く展開されています(笑)。手広くやっていると思いますよね? でもじつは京都国立博物館が1000年先までモノを守っていくために、売り上げの一部を文化財の保護活動に当てていて。トラりんはそのためにいるんですよ。なんとも壮大な話です......。

05
サントリー美術館の「清水・住吉図蒔絵螺鈿西洋双六盤」のノート

©Natsumi Osawa

やってくれたな……
いろんな意味で全面降伏な「ノート」

来年まで休館しているんですけど......お気に入りなので紹介させてください。

収蔵品の「清水・住吉図蒔絵螺鈿西洋双六盤(きよみず・すみよしずまきえらでんせいようすごろくばん)」がノートになっちゃいました。実物の螺鈿(貝殻を板状に成形し漆地の面にはめ込んで漆を塗り研ぎ出す技法)の部分もキラキラとした紙で精巧に表現されていて、この再現性は侮れません。収蔵品(実物の双六盤)を観て感動したあとにそれがノートになってショップに売られていて......もう「やってくれたな!」としか言えないです(笑)。

美術館がある六本木という土地、そしてミッドタウンという建物。そこにどういうお客様が来て、ショップに何を求めていて、どんな瞬間に「これ欲しい!」と思ってくれるかをサントリーさんはちゃんとわかっている。他の地域で売ろうと思っても、質感がすごいとはいえこの価格帯では作れないでしょう。

サントリー美術館でモノを売ることへの本気が伝わってくるグッズです。でもこれはとにかく、一度実物を見てほしい。あ、そこそこ厚手ではありますが一冊1000円します。でも全然元はとれます(断言)。

Top image: © Natsumi Osawa
もちろん「かわいいだけ」で買ったっていい。でもこの記事を読み終わる頃、きっと「かわいい」のひとつ向こうへ視点がいくはず!
ひとめぼれした5つのグッズとともに、博物館とそれの奥深い関係性について語ってくれたのは、ミュージアムグッズ愛好家の大澤夏美さん。
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