もっと早く知りたかった!生ゴミを捨てずに活用する方法「コンポスト」
目次
近年、エコロジーの観点から注目度が高まっている「コンポスト」。
コロナをきっかけに家庭菜園を始める人が増え、コンポストを活用する人も多いのだとか。そんなコンポストについて、コンポストとは何か、実践するメリットやデメリット、コンポスターの種類やおすすめ商品を紹介します。
コンポストとは?
コンポストとは、「堆肥(compost)」という意味で、日常生活で出る生ゴミや落ち葉といった有機物を分解・発酵させることでできる肥料のことをいいます。また、コンポストを作る行為(composting)も日本語ではコンポストと呼ばれます。
このコンポストをつくるための容器や機械を「コンポスター」といい、「生ゴミ処理機」という名称で販売されているものもあります。
※堆肥を作る容器自体がコンポストと呼ばれることもありますが、ここでは混同しないよう容器や機械はコンポスターと呼ぶこととします。
コンポストが注目されている理由
実はコンポストは決して新しい取り組みではありません。
かつての日本では、食べ残しや生ゴミなどの生活廃棄物を家畜の餌にしたり、集めて畑の肥料にするなどが普通に行われていました。ですが、都市化が進むにつれ排出されるゴミの多さや多様化に対応できず、やがて焼却処理などの効率的にゴミを処理できる方法が採用されるようになっていったのです。
近年では、SDGsに代表されるような循環型の社会を目指そうという動きが増加し、環境にやさしいコンポストが注目を浴びるようになったという訳です。
コンポストのメリット・デメリット
「コンポスト=エコ」というイメージがありますが、じっさいコンポストにはどのようなメリットがあるのでしょうか?逆にデメリットもあるのでしょうか……?
ここではコンポストの導入を検討している方向けにメリット、デメリットをまとめてみました。
コンポストのメリット
- 生ゴミの処理、ゴミ出しの必要がなくなる
- 生ゴミをまとめるビニール袋を削減できる
- 本来捨てるはずだったゴミを堆肥として活用できる
- 堆肥で安全においしい野菜や果物を育てることができる
- 環境にやさしいライフスタイルを実践できる
生ゴミは放っておくと悪臭の原因になるので、すぐに捨てたいとお思いの方も多いと思います。コンポストであれば、ゴミの収集日を待たずすぐに処理できるというのも大きなメリット。さらに、エコロジーの観点でも、生ゴミをまとめるためのビニール袋の削減、本来捨てるはずだったゴミを再利用できる、とメリットが多くあります。手軽に始められるので、「家庭菜園を始めたい」「環境にやさしいライフスタイルを送りたい」という人におすすめです。
コンポストのデメリット
- 堆肥がつくられるまで時間がかかる(通常数週間〜数ヶ月)
- 悪臭や虫がわく原因になる可能性がある
- 定期的に土をかき混ぜるなど手間がかかる
コンポストをつくる上で最も注意すべきは微生物の管理です。微生物が分解しやすいように生ゴミを細かく切ったり、分解しにくいもの(野菜の芯などの硬いものや、割り箸などの家庭ゴミ)は入れないようにするなど工夫が必要です。また、分解活動を活性化させるために、コンポスター内の土を定期的にかき混ぜ、新鮮な空気を取り込ませる必要も。
最初は少し面倒に感じるかもしれませんが、こういったこまめな手入れが良質なコンポストをつくることにつながります。コンポストで育てたおいしい野菜や果物を想像しながらがんばりましょう。
コンポストできる/できないものは?
コンポストはなんでも入れていいのかというとそうではありません。分解できるものと分解できないものがあるので、コンポストを始める前に知っておくといいでしょう。
ここでは、EPA(United States Environmental Protection Agency)の『Composting At Home』に掲載されているコンポストできるものとできないものを紹介します。
コンポストできるもの
・フルーツと野菜
・卵の殻
・コーヒーかすとフィルター
・ティーバッグ
・ナッツの殻
・シュレッダー済みの新聞紙
・段ボール
・紙
・芝生
・草
・観葉植物
・干草と藁
・葉っぱ
・おがくず
・木片
・綿とウールのぼろきれ
・糸くず
・髪と毛皮
・暖炉の灰
コンポストできないもの
・黒クルミの葉や小枝
・石炭や木炭灰
・乳製品と卵
・病気や虫に覆われた植物
・脂肪、グリース、ラード、油
・肉や魚の切れ端
・ペットの排泄物
・農薬がかかった芝生
コンポストに入れてはいけないものを入れてしまうと、悪臭や虫がわく原因になります。「これは入れていいの?」と迷った場合は、コンポスター(ゴミ処理機)のメーカーに問い合わせる、自治体などが発信している情報をチェックするなど、できるだけ信用度の高いところの情報を基に判断するようにしましょう。
コンポスターの種類
ここまで読んで、コンポスターが欲しい!と思われた方もいらっしゃることでしょう。コンポスターといっても、屋外で利用するものもあれば、屋内で手軽にできるものもあります。ここでは基本的なコンポスターの種類を3つ紹介しますので、自分のライフスタイルにあったタイプはどれか、ぜひ想像しながら読んでみてくださいね。
01. 設置型コンポスター
設置型コンポスターは、庭や畑などに直接埋めて使うタイプ。プラスチック製で鐘のような形が特徴です。 落ち葉や雑草などと一緒に生ごみを入れて、地中の微生物の力で分解し堆肥を作ります。
メリットとしては、電力を使用しないこと、一度に多くの堆肥が作れること、落ち葉や雑草も入れられることが挙げられます。一方デメリットとしては、屋外に設置するため虫がわくリスクがあること、かき混ぜる手間がかかることがあります。
02. 電動コンポスター
電動コンポスターは、かき混ぜる作業や温度調整などを自動で行うタイプ。電動のなかにも温風乾燥させる乾燥式(屋内用)と微生物で分解するバイオ式(屋外用)の2種類があります。
電動コンポスターのメリットとしては、かき混ぜる手間がかからないこと、堆肥になるまでの時間が比較的短いこと、悪臭が出にくいことが挙げられます。一方デメリットとしては、電気代がかかること、高価なことがあります。
お住まいの自治体によっては助成金(生ごみ処理機助成金)が給付される可能性もあるので調べてみるのはいかがでしょうか。
03. バッグ型コンポスター
バッグ型コンポスターは、名前の通りバッグの形をしたタイプ。都市部や集合住宅にお住まいの方などから人気のあるコンポスターです。
メリットとしては小型でスペースを取らないこと、電気代がかからないこと、そのまま鉢にできること、価格がリーズナブルなことが挙げられます。一方デメリットとしては、大量に作れないことがあります。
初心者でもはじめやすいコンポスター3選
こちらでは数あるコンポスターのなかから、初心者におすすめ商品を3つ厳選してご紹介します。
01. パリパリキューブ【電動】
生ゴミの80%を占めているといわれる水分を温風によって乾燥させることで生ゴミ処理を簡単にするパリパリキューブ。においや虫がわく原因である汁だれなどをなくし、乾燥物はそのまま有機肥料として使用することができます。権威あるデザイン賞を受賞したというスタイリッシュな見た目も魅力です。
販売価格は型によって約3〜5万円。詳細は公式サイトご覧ください。
『パリパリキューブ/島産業株式会社』
公式サイト:https://www.parisparis.jp/
02. ナクスル【電動】
従来の生ゴミ処理機の時間がかかる、匂いが気になる、電気代がかさむといった悩みを解決するのは、ハイブリッド生ごみ処理機と「ナクスル」。生ゴミを入れるだけで全自動で処理してくれると手軽さがポイントです。また、静音・脱臭設計なので家のなかでも快適に使うことができるというところも魅力。さらに、省エネで電気代も節約できるのでエコです。
販売価格は139700円(税別)<※公式サイト調べ>。
『ナクスル/株式会社伝然』
公式サイト:https://den-zen.net/
03. LFCコンポスト【バッグ型】
最後にご紹介するのが、マンションや一人暮らしでも手軽に取り入れられるバッグタイプのLFCコンポスト。同ブランドのバッグは独自配合の生地で、雨水や虫などの侵入を防ぐだけでなく生ゴミの分解スピードをはやめることができるという特徴を持っています。インテリアを邪魔しないおしゃれなデザインもポイント。コンパクトなサイズなのでまずはお試しでやってみたいという方におすすめです。
販売価格は3880円(税別)<※公式サイト調べ>。単品販売以外にも、定期便コースもあります。
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『LFCコンポスト/ローカルフードサイクリング株式会社』
公式サイト:https://lfc-compost.jp/product
手作りコンポスターもおすすめ
コンポスターは購入するだけでなく、ダンボールなど身近な生活用品でつくることができます。こちらでは手軽に入手可能なダンボールを使ったコンポスターの作り方を簡単にご紹介します。
ダンボールコンポスターの作り方
ダンボールコンポスターのつくりかたはとてもシンプル。ダンボールを用意し、ガムテープで底をしっかり閉じて発酵を促す素材(ピートモスやくん炭など)と土を入れるだけ。あとは入れたい生ゴミを投入してかき混ぜれば完成です。
耐久性が弱いので雨の当たらない屋根付きのベランダなどに置いて約4ヶ月程度待ちましょう。
まとめ
生ゴミを価値あるモノに変えるコンポスト。「思っていたより簡単!」と感じた方も多いのではないでしょうか?
ぜひ気軽に始めてみてはいかがでしょうか?