都市生活者のための「ミミズと暮らす」卓上コンポスト
ミミズに手伝ってもらって有機ゴミから堆肥(腐植土)をつくる。いわゆる「コンポスト」が室内でできる。こう聞いて敬遠したくなる人の方が多いのは承知。ベランダでも庭でも、場所はある訳ですから。でも、ゴミ箱よりも近くにそれあれば、もっと捨てるゴミが減るかもしれない。
ミミズの力で野菜くずを堆肥に
室内用の卓上コンポスト
食品廃棄物を有機肥料に替えるコンポスト。その概念自体は何も新しいものではなりません。日本の家庭でも、生ゴミを処理して堆肥にする知恵は、農家などで古くから培われてきた生活の知恵。
ガーデニングを楽しむ人やエコ、エシカル意識の高い人たちの間で数年前からベランダやバルコニーで始めるコンポストがちょっとした話題になったことも。本来こうした堆肥づくりは「家の外」がきほんのき。どうしても時に発生してしまうハエや悪臭を避けるためです。
ところが、ここで紹介する「BIOVESSEL」は、設計段階から室内での使用をイメージしてデザインしたというんだから驚き。キッチンやテーブルの上に置かれたコンポスト、しかも中にはミミズですからね。
でも、このミミズこそがBIOVESSELの要。
悪臭なし。
森の中にいるような
なつかしい匂い!?
普通、生ゴミは発酵のプロセスにおいて悪臭を発します。が、入れた野菜くず(生ゴミ)をどんどん食べて分解してくれるのがミミズを使ったコンポスト。これなら、悪臭を放つ発酵の前に効率良く分解が始まるため、臭いが気にならない構造だとか。
もちろん、ベースの上にはちゃんと空気孔の空いたフタが付いているので、ミミズが脱走することも、構造上はありません(多分)。
さて気になるのは堆肥になるまでにかかる時間。開発者の実験では青梗菜のヘタ(60g)が分解されるまでに要したのが、ちょうど24時間。ジャガイモ、ニンジン、キュウリから出る野菜くず(200g)で72時間、これが最長。量にもよりますが、だいたい3日もあれば栄養抜群の堆肥が完成する計算です。
さすがに無臭という訳にはいかないようですが、「森の中にいるようななつかしい土の香りに感じる」という意見も。これはミミズコンポストの先駆者ジョージ・シェフィールド・オリバーが1941年に自著の中で記した言葉。
ミミズに餌を与えればいい土壌ができる。それを初めて知識と技術を用いて世に知らしめた人物の主張だけに、説得力が増すんじゃないでしょうか。
食品廃棄は家庭から
減らしていける
減らしていける
ところで、このプロダクト開発には多くの専門家が関わっています。たとえば生物学者、ボタニスト、ランドスケープデザイナー、建築家など。生物学的観察と実験で得た知見を生かし、自然界の力にテクノロジーをかけ合わせることで、このBIOVESSELが誕生したのです。
というのも、アメリカで毎日捨てられる生ゴミのおよそ45%が、野菜やフルーツのくず(皮やへた)。その中には使用されないまま腐らせてしまったものも。国連環境計画(UNEP)によると、その総数は年間約13億トンにも。
これら食品廃棄に回された生ゴミが温室効果ガスの排出、ひいては地球温暖化、気候変動に加担しているという現実を食卓から変えていきたい。そこに開発チーム「BIONICRAFT」のビジョンがあることを最後に。
現在、クラウドファウンディングサイトで出資を募りながら、スターターキットを先行販売価格149ドル(約15,000円)で予約受付中。最初に用意するものは、栄養たっぷりの腐植土とイキのいいミミズ数匹です。
都市型サステイナブルなミミズコンポストに興味のある人は、こちらから。詳しい説明は以下の動画でチェック。