都市生活のノイズにならない、そよ風でも発電する「風の木」

持続可能なエネルギー社会の実現は、21世紀を生きる私たちにとっての至上命題。官民一体となっての代替エネルギー開発が進んでいます。環境にやさしいことは、まずもって必要でしょう。

でもだからといって、目抜通りに巨大風車が立ち並び、公園をつぶしてまでソーラーパネルに占拠させては、人間の生活の基盤は成り立ちません。

そういう観点から、このフランスの企業が開発した「風力発電機」をあらためて注目すれば、多少風変わりに映ったとしても、やっぱりこっちの方がイイって言えると思うのです。

自然に最も近いかたちで
葉っぱを回転させる風力発電機

まずは2枚の写真から、その風力発電機を探してみてください。

きっと、見つけるまでに要する時間は1秒とないでしょう。そう、白い枝の伸びる木が正体。

もちろん型やぶり(というよりいびつ)なのは、見ての通り。でもどうでしょう、同じ場所に高さ数十メートルの鉄塔がそびえ、大きな羽がぐるぐると回っていたら?

景観に“すんなりとけ込む”、とはいきません。それよりかは「まだこれなら」な気持ちになってくるのでは。

都市生活に受け入れられる
デザインを求めて

ニューウィンド社がデザインした「L'Arbre à Vent(風の木)」には、高さ11mの支柱に、合計63本の葉っぱを模した小型風車が設置されていて、これがくるくると回転することで発電する仕組み。

原理は風車と同じ。ただしこちらは秒速2メートルほどのそよ風でも、葉っぱが周り発電が可能だそう。さらにはあらゆる方向からの風をも受け止めてくれる。そして、この風の木はほとんど騒音が出ないというのも、周辺環境に左右されない都市生活に適した風力発電であることが最大のメリットでしょう。

1つの葉っぱがつくり出す電力は微々たるもの。それでも、1本の風の木からは一年間におよそ2,400キロワットを発電する試算。

街路灯に換算して15本分、電気自動車で例えると年間16,000キロ以上が走行可能に。さらには、近隣オフィスの明かりや、一世帯分の消費電力の約83%をまかなうことも可能だそうです。

昨年末パリで開催されたCOP21に合わせ、すでにパリ郊外に合計8本の風の木が植えられ、試験運用が始まっているんだとか。景観にとけ込むためのほんのちょっとした工夫、やっぱりどうせならば自然に少しでも近いカタチで。ね、イイでしょ。

 

Licensed material used with permission by New Wind

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