「The Sauna」支配人・野田クラクションベベー「覚悟のBarbour」【vol.1】
野田クラクションベベー。
「The Sauna(長野県)」のサウナビルダー兼支配人であり、サウナプロデューサー。The Saunaの2号棟「The Sauna Kaksi」のほか、昨年の「サウナシュラン」で10位にランクインした「ume,sauna(奈良県)」も彼の手によるものだ。
4月末には、プロデュースした「THE GEEK(北海道)」が営業を開始し、現在は「サウナ宝来洲(ホライズン:新潟県)」と「コアミガメ(茨城県)」のオープンに向けて奔走中。昨今の熱い熱いサウナシーンにおけるキーパーソンの一人であることは、まず間違いない。
あるとき、そんな彼からLINEが届いた。「仕事で都内に行くのでちょっと話しませんか?……12回払いで買ったBarbourのジャケットを着ていきます!(笑)」
ただのネタかと思ったBarbourのくだり。でも、これが結構イイ話。
──それにしても大活躍ですね!
いえいえ(笑)。おかげさまでいくつかプロジェクトが進んでいます。
──The Saunaは相変わらず予約が取りづらい。
ありがたいです。今、僕には弟子というかヘルパーが4人いるんですが、別に募集したわけではないんですよ。ヘルパーがヘルパーを呼んでくれて、今年の10月までは埋まってるんですよ、ヘルパーが。
──ヘルパーが!
はい。みなさん、すごく興味を持ってくれて、The Sauna自体はもちろん、僕と話したいからって来てくれる方も少なくない。
でも、目指しているのは、僕の弟子に会いにきてくれるような人がどんどん増えること。彼らが憧れられて、彼らにもまた弟子がつくような。そういう状況を目指して、みんなで頑張ろうよって話をしています。
──これだけ人気なのに、現状にまったく満足していないんですね。
最近すごく思うんです。全国にはカッコいい銭湯やサウナ施設って、たくさんあるじゃないですか?でも、そこで働きたいと思う人は少ない。儲からない、ビジネスとしてはしんどいみたいなイメージがあるんでしょうね。
もちろんラクではないし、厳しいこともある。でも、サウナ施設で働くことの良さだって間違いなくある。「サウナで働くのってなんかカッコいいよな」と思われるようになれば、もっと担い手は増えると思う。
──サウナの梅湯(京都)と十條湯(東京)のご兄弟のように、少しずつではありますが、若い経営者の方も増えています。
そうですね。以前にThe Saunaにも弟さん(十條湯)が来てくださって、いろいろお話させていただきました。
──喜楽湯(埼玉県)の方も含めて、若い経営者がどんどんメディアに出ているのはポジティブですよね。「自分もやりたい!」と思う人が出てきそう。
山形県のスイデンテラスにサウナができましたよね。坂茂さんという、めちゃくちゃすごい建築家の方がデザインしたサウナ。そういうラグジュアリーな施設が今後もどんどん増えていくと思うし、すごくイイことだと思う。
(ととのえ)親方や(サウナ)師匠ともよく話すんですが、やっぱりお二人はターゲティングが明確でうまい。当てるべきところに、ちゃんと当て続けている。でも、全員が同じサウナを好きとは限らないから、僕たちは僕たちらしく、クラフトな感じで頑張ります。
──イイですね、クラフト。
ウチみたいなローカルなサウナで大事なのは、やっぱり人間力。自分たち自身に魅力を感じてもらえるようにしないと、長い目で見ると生き残っていけない。「The Saunaで働いている人たちってカッコいいよな。自分も働いてみたいな」って思ってもらわなくちゃいけない。だから、かなり無理して、チームのみんなでこのBarbourを買ったんですよ。
──なるほど、決意が込められているんですね。
12回払い(笑)。もうね、“覚悟のBarbour”です。
事業を継続していく、人を雇うという意味では売り上げは絶対に必要。これは大前提。そのうえでさらに、自分たちがカッコよくある。人が集まってきたら、また新たなチャレンジができるはず。
最初はもちろん「The Saunaっていいな」から始まる。でも、今後は「The Saunaで働いている人ってカッコいいな」、もっというと「信濃町で暮らしている人ってカッコいいな」、そう思ってもらえるよう、みんなで頑張りますよ。
インタビュー記事は全3話♨️ 次回は5月19日公開