英政府が「動物園」でのゾウの飼育を禁止へ

2020年1月、サーカス(はじめ娯楽目的)での野生動物の利用を禁じたイギリス政府。

今度は、動物園サファリでのゾウの飼育と新たな捕獲を禁ずる「Kept Animals Bill(動物飼育法案)」を今年末に可決する見込みだ。

ザック・ゴールドスミス環境相が提出予定の報告書によると、飼育下のゾウは、精神疾患、関節炎、足の腫瘍などのさまざまな病気に苦しみ、平均寿命を著しく低下させているのだとか。

主な原因は2つ。

1つ目は、慢性的な運動不足だ。野生のゾウは通常、1日に40マイル(約64km)歩くことで、巨躯を支える筋力を保っているが、動物園の檻の中ではそうもいかない。

2つ目は、ゾウ同士の絆が希薄になること。

野生では100頭もの大家族で生活しており、家族や友人が亡くなったときには泣くことが報告されるほど、社会性を重んじるゾウ。多くとも2〜3頭、場合によっては単独で飼育される動物園では、ほかのゾウとの絆は築きにくいのが現状だ。

社会的な結びつきと移動本能という基本的な欲求が満たされないことで、先に述べた病気を引き起こしてしまうんだそう。

現在イギリスには11の動物園に51頭のゾウが飼育されているが、法制度が進めば、すべてリリースを前提に、イギリスの動物園からゾウが消える日がやってくる。ほかの飼育動物の今後についても注視したい。

Top image: © Tam Nguyen/Shutterstock.com
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