「上野動物園」から「クロヒョウ」が脱走!都民が恐怖した12時間半【86年前】

何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。

それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。

アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?

「上野動物園」が開園した日

学校の課外授業、デート、家族での休日の過ごし方など、じつにさまざまなシーンで選択肢のひとつに挙げられるスポット「動物園」。

日本は世界的な“動物園大国”であり、種の保存や調査、研究などの観点から組織された「日本動物園水族館協会」に正会員として登録されている動物園の数は、全国で90施設にものぼるのだとか(2021年12月13日時点)。

野生動物の生息環境をリアルに再現した施設や、来園者と動物たちの触れ合いを重視したタイプ、学校や公共施設に動物を派遣する出張型など種類もさまざまな動物園ですが、今日3月20日は“日本で最初の動物園”が開園した日です。

その施設とは、ご存知「上野動物園」。

1882年、上野公園にオープンした博物館の“付属施設”として作られた上野動物園。当時は現在の約1/4ほどの面積しかなく、オープンから数年間は、所管が「農商務省」だったことから、牛や馬、豚といった家畜なども数多く飼育、展示されていたのだとか。

開園から4年後、担当機関が「宮内省」となり、海外の王室などとの交流が生まれたことで世界中から集められた奇獣、珍獣、猛獣などが続々と飼育されることになります。

そして、1936年7月25日、上野動物園の周辺エリアを騒然とさせる事件が起こります。

後に「二・二六事件」「阿部定事件」と並んで「昭和11年三大事件」のひとつに数えられるまでになった「クロヒョウ脱走事件」です。

クロヒョウといえば、動きが俊敏なうえ力が強く、その風体と獰猛さから“密林のギャング”の異名をもつ猛獣。脱走したのは、体長130cm、体重50kgを超えるメスの個体でした。もし襲われれば、人などひとたまりもありません。

警察や動物園職員ら100人を超える捕獲隊が結成され、脱走から約12時間半後、クロヒョウは「東京都美術館」近くの暗渠(排水溝)で捕獲。人にも動物にも被害はありませんでした。

その後の上野動物園の公式発表や報道などから、脱走の原因は、ストレスからくる食欲不振などに陥っていたクロヒョウの肉体的、精神的なケアのため、夜間、猛獣舎と安全対策が行き届いていない運動場を隔てる門を開放していたという事実が判明しました。

約半日という短い時間ではありましたが、都民を恐怖させ、日本中の話題をさらったこの事件。

被害者がいなかったという結果ありきではありますが、動物愛護や自然保護の観点から動物園の在り方が問われている今、担当職員の行動を“愛情”や“優しさ”と捉えるのは、甘すぎるでしょうか......?

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