時速30km以下でも、あなたは運転したい?

8月30日より、パリ市に驚きの制限速度が課せられた。

その制限、わずか時速30km(シャンゼリ大通りなど一部区間除く)……街ごと教習所か?と言わんばかりの遅さだ。

政策の目的は、交通事故の防止と騒音の低減。市の当局者いわく、遵守することで人身事故を25%、死亡事故を40%減らすことができるそう(WHOの研究に基づく数値とのこと)。

なるほど、交通量を減らしたくば運転の快感を消し去ってしまおう!といったところか。

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たしかに事故は減りそうだが、さすがにやりすぎでは?

気になる住民の反応は、まさに真っ二つ。パリ市内の住民のうち59%が新たな規制を支持(!)、一方で首都圏全体では反対派が61%を占めている。

もちろん交通量そのものを減らすことで大気汚染を抑える狙いもある。ただ、これに関しては「ラッシュ時の渋滞が悪化しかえって温室効果ガスが増える」との批判も。

また、制限によって車道が開放されれば、歩道と自転車用道路の拡張や緑化に活用することもできる。これによって、ソフトモビリティの促進も期待できるのだとか。

交通量の減少にあたっては、市内の公道にある14万4000台分の駐車場のうち、じつに6万台分が削減。ドライバーはますます苦しくなりそうだ。事故は減っても、ドライバーが凶行に……なんてことが起こらないことを願いたい。

ちなみに、同規制を実行したパリ市のアンヌ・イダルゴ市長は、来年開かれる時期大統領選への出馬を表明している人物。今回の施策がどう影響するか、市長のこれからにも注目だ。

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