「アニメ大国・日本」の歴史は、ここからはじまった。
何気ない一日に思えるような日が、世界のどこかでは特別な記念日だったり、大切な一日だったりするものです。
それを知ることが、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。何かを始めるきっかけを与えてくれるかもしれない……。
アナタの何気ない今日という一日に、新しい意味や価値を与えてくれる。そんな世界のどこかの「今日」を探訪してみませんか?
日本初のカラー長編アニメ映画『白蛇伝』が公開された日
2021年1月に「一般社団法人 日本動画協会(AJA)」が発表した「アニメ産業レポート2020」によると、日本で制作された広義の“アニメ産業”の売り上げは、10年連続で伸長を続けており、昨年は2兆35112億円を記録。
そのうちの約半分にあたる1兆2009億円は、海外での売り上げによるものなのだとか。
このデータが示す通り、日本のアニメーションは海外でも大きな支持を得ており、政府が推進する「クールジャパン戦略」の一角を担う、日本の重要な産業のひとつです。
今日10月22日は、そんな日本のアニメーションというカルチャーの礎を築いたとされる、国内初のカラー長編映画が公開された日です。
今から64年前の1958年に公開された、記念すべき作品のタイトルは『白蛇伝(はくじゃでん)』。中国に古くから伝わる説話をテーマにした作品です。
「アニメといえばディズニー」とされていた時代。
1930年代よりカラーアニメを制作し、『ピノキオ』(1940年)や『ダンボ』(1941年)、『シンデレラ』(1950年)、『ふしぎの国のアリス』(1951年)など、ディズニーが今も語り継がれる数々の名作を世に送り出すなか、当時の日本にはカラー長編アニメの制作における知見や技術者、経験者は、ほぼゼロ。
「東映」(※1)は、国内で活動する数少ないアニメーターに招集をかると同時に若手クリエイターたちを教育し、なんと2年もの歳月を費やして、作品の予告編で使われたキャッチコピーでいうところの......
大東映が 世界に 放つ
日本最初の 総天然色 長篇漫画
スリルと ユーモアを 生んで
森繁久弥(※2)と 宮城まり子の
たくみな 話術が 一人十役を 演じ
妖精白蛇と 人間の
不思議な 愛の物語り
大東映が 自信をもって 贈る
漫画映画の 巨篇
......を完成させたのでした。
ちなみに、日本の、いや世界のアニメ映画シーンを牽引する宮崎駿監督も高校生のときにこの作品を鑑賞し、そこで受けた衝撃からアニメーターになることを志したのだとか。
製作を開始した時期においては、やや後塵を拝した感のある日本のアニメ界。しかし、現代のシーンの状況をみれば、早い/遅いは、そこにかける思いや情熱でいくらでも挽回できるものといえるのではないでしょうか。
※東映動画株式会社
※作品内では「彌」ではなく「弥」と表記