「富裕層」と「裕福な個人」で、“ある印象”が変化するらしい
新型コロナウイルスのパンデミックは、富の格差にも悪影響を与えている。
「連邦準備制度理事会(FRB)」の最新データでは、米国の富裕層上位1%にあたる人々が、全体の60%を占める中間層を上回る富を保有していることが明らかになった。
この富の不平等は、国家の政策にも直接つながる重要なテーマだが、先日発表されたある論文によると、捉え方によって印象が変わるらしい。
簡潔にいうと、「アメリカ人は、富裕層という大きなグループに対しては否定的な意見が多い一方で、裕福な個人という単位では、少し寛容になる」というのだ。
8つの研究では、一般的に多くの富を一部の人が持つことを不平等だと感じる人でも、特定の人物について聞くと、その傾向が少ないことが結果として得られた。
たとえば、1人に焦点を当てた経済誌『フォーブス』の特集を読んだ人より、さまざまな富裕層が取り上げられた特集号を読んだ人の方が、読了後の調査で否定的な意見が多かった。
つまり人々は、個人についての話になった場合、億万長者の背景や努力、そして才能にを実感することで、実際に多額の富を得る権利があると評価することがあるようだ。
もしかしたら、このような傾向は日常生活のなかで実際に感じることがあるかも。
論文の研究共著者であるジェシー・ウォーカー氏は、「不平等に関する情報は、どのように表現して伝達するかが非常に重要です。“1%”について話したいのであれば、1人について話すのか、グループについて話すのかで異なった反応が得られるでしょう」と結論付けている。
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