ALS患者の脳にデバイスを埋め込んで意思疎通を図ることに成功
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、筋肉を動かす神経が障害を受けてしまう難病。病勢が進行すると、体を動かすことはおろかコミュニケーションすらとれなくなってしまう——。
そんなALSの患者と意思疎通ができたとの報告が、学術雑誌「Nature Communications」に掲載された。
ドイツにあるテュービンゲン大学(University of Tübingen)のNiels Birbaumer氏らは、37歳のALS患者の脳に細かな電極がついたデバイスを埋め込んだ。そして、脳波をコンピューターで解析して意思疎通を図ったという。
どうするかというと、特定のトーンやワード、フレーズに対する患者の脳波のリアクションを見て、周囲の人が意思を読み取るというもの。
とても大変で時間のかかる方法ではあったようだが、このシステムのおかげで患者は文を作って感謝や要求などを伝えられるようになったとのこと。
なお、ALSが進行して身体を動かせなくなると、視線でメッセージを送るのが一般的だ。しかし、今回の患者のように眼球運動すらできなくなってしまうと、コミュニケーションをとるのは非常に難しくなる。
そのため、今回の発表はALS患者との意思疎通方法において大きな進歩といえる。脳波を使ったシステムがより進化して、ALS患者と周囲の人をつなぐ架け橋となってほしい——。
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